2024年12月11日無料公開記事洋上風力発電

洋上風力向けHLVとケーブル敷設船建造
五洋建設、シンガポール造船所で

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大型基礎施工船(HLV)イメージ

 五洋建設は10日、洋上風力建設向けの大型基礎施工船(HLV)とケーブル敷設船の建造を発表した。2隻は五洋建設子会社と芙蓉総合リースで出資比率各50%で共同保有する。HLVの建造費は約1200億円で、シンガポールのシートリウムで建造し、2028年3月に引き渡される予定だ。ケーブル敷設船の建造費は約310億円で、シンガポールのパックスオーシャングループが建造、28年2月の引き渡しを予定している。
 五洋建設は11月にシートリウム子会社との間で、HLVの建造に関する基本合意書(LOI)を締結したことを明らかにしており、今回、取締役会で同船とケーブル敷設船の建造に向けた設備投資を行うことを決議した。同社の投資額は、HLVとケーブル敷設船、ケーブル敷設船に搭載するトレンチャー(埋設機)とワークROVを合わせ約790億円となる。自己資金と借入金を充当するが、HLV向けの借入金については50%を超えない範囲で物流総合効率化法に基づく鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)からの借り入れを検討している。
 2隻は日本船籍で、船級は日本海事協会(NK)。環境対応として、バッテリー蓄電システムを採用し、メタノールレディ仕様とする。HLVについて、建造契約は2025年1月に締結する予定。基本設計はウルスタインが行う。15MW〜20MW級風車のモノパイルを安全で効率的に施工するため、全旋回式5000トン吊クレーンを搭載する。
 ケーブル敷設船は今月3日に建造契約を締結した。基本設計はノルウェーのソルト・シップ・デザインが行う。電力ケーブルタンク容量は5000トン2基で計1万トンとなる。風力建設工事から電力ケーブル敷設工事へと事業を拡大するため、将来的な排他的経済水域(EEZ)への洋上風力建設を見据える。着床式だけでなく浮体式洋上風力、海底直流送電のケーブル敷設工事への投入を狙う。
 五洋建設の現在の洋上風力作業船の船隊は2018年建造の800トン吊SEP船“CP-8001”、鹿島建設と寄神建設とで共同保有する23年建造の1600トン吊SEP船“CP-16001”のほか、DEMEオフショアとの合弁会社ジャパンオフショアマリンが保有し、27年稼働予定の1600トン吊SEP船“CP-16001”。今回のHLVとケーブル敷設船の建造により計5隻となる見込み。また、同社は風車部材運搬船やSOV(サービス・オペレーション・ベッセル)の建造についても検討している。

ケーブル敷設船イメージ

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