2026年3月17日無料公開記事洋上風力発電
中小型造工が英設計会社と提携
洋上風力向け輸送船の国内建造促進へ
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中小型造工の西田常務(左)とチャートウェルのレクオナ氏が調印した
日本中小型造船工業会は16日、英国の船舶設計会社チャートウェル・マリンと連携協定の覚書を交わした。両者は日本の洋上風力発電向けに最適な、日本製舶用製品を搭載した作業員輸送船の概念設計を開発しており、今後建造プロジェクトが具体化した際に中小造船所らとチャートウェルの詳細設計作業での連携を支援する。洋上風力発電市場の立ち上がりに向け、輸送船の国内建造を促す。さらに、今後のバッテリー推進高速旅客船などの先端船の設計でも連携する。
中小型造工は過去2年、日本財団の支援を受けて、日本の発電事業者やオペレーター、造船所らと共同で日本のサプライチェーンで調達可能な人員輸送船の開発を進め、昨年までにチャートウェル社がクルートランスファーベッセル(CTV)とサービス・オペレーション・ベッセル(SOV)が概念設計としてとりまとめた。「ギャングウェイを除く全ての搭載機器を国産化した」(中小型造工の西田浩之常務)点が特徴で、「日本に最適な、費用対効果の高い船型としている」(チャートウェルのファビアン・レクオナ事業開発コンサルタント)。
これまで国内外の展示会などで周知を図ってきたが。「長崎県など自治体へのヒアリングでは地元造船所での建造や所有・運航などを希望する声が強くあったため、建造を検討する際の詳細設計で設計会社との橋渡し役を中小造工が担うことを決めた」(西田常務)。
今後、日本でCTVやSOVの設計図書作成に関する相談が寄せられた場合は、該当機関・企業がチャートウェル社と設計図書作成契約を結ぶまで中小造工が助言や意思疎通促進などで支援する。契約締結後も、必要に応じて設計作業の進捗状況の照会など円滑な作業促進を支援する。
これに加えて、今後はバッテリー推進高速客船などの先進船舶についても、同様の協力スキームを活用する。中小造船所が設計の人材難や高齢化の課題に直面していることを受け、中小型造工は日本財団の支援を受けて新たな支援体制を構築する予定。この一環として、造船所が設計・建造の経験のない船種のうちバッテリー推進やハイブリッド推進の高速客船ではチャートウェル社と協業する。
チャートウェルは2018年設立でサザンプトンに拠点を置く設計会社。設計技術者約20人を擁し、アルミ船を得意とする。これまでCTVでは同社設計船が30隻超就航しており、水陸両用CTVなどの特殊船型も手掛けた。現在は欧州やシンガポール、ベトナムで20隻が建造中。またSOVや、アルミ船、電気推進フェリーなど100隻以上の実績を持つ。