1. コラム

四海茫々

【四海茫々】(345)四海、茫々、無窮

 日本郵船の物流事業は、21世紀の郵船の消長をも左右する一大事案であったと思われる。  にも関わらず、物流事業の黒字化が達成された話は大きなニュースになっていない。われわれ記者が事続き

【四海茫々】(344)ベンチがアホでも

 世間では、瑣末事にこだわらず核心に向かって真っ直ぐ、大胆に行動する人を豪傑という。日本郵船の平野裕司氏はそういう人であった。  記者に投資案件の収支見通しを聞かれ「分かりませんね続き

【四海茫々】(343)実用・実見

 日本郵船は、船社の枠組みを越えて総合物流事業に打って出た会社である。物流事業を限定的に兼営する海運会社の事例はごまんとあるが、海陸空のサービス・メニューを揃え、万(よろず)の物流続き

【四海茫々】(342)非認知能力

 日本郵船は1983年(昭和58年)7月の『物流課』新設に続いて同年12月、『ジャパン・インターモダル・トランスポート』(略称JIT)を設立した。同社は同年5月の御前会議で「物流事続き

【四海茫々】(341)漂えど、沈まず

 前回までの連載で、日本郵船の草刈隆郎氏にまつわる言葉、『ラジコン』が意味するところはご理解いただけたろうか。ラグビー、自動車船、コンコルドは氏を青雲の高みに導いた得がたい体験であ続き

【四海茫々】(340)文化資産

 日本郵船の草刈隆郎氏は1990年代初頭、自動車船営業部門に異動しトヨタの経営の本質に触れることになった。いや「触れる」という表現はいささか弱い。「衝突した」というべきであろう。異続き

【四海茫々】(339)レバンテ

 エンジニアの酒井崇男氏は『タレントの時代/世界で勝ち続ける企業の人材戦略』(2015年発行)の中でこう記述している。以下、大意。  「韓国で売られているレクサスは、日本で開発・設続き

【四海茫々】(338)リアリスト

 日本郵船の草刈隆郎氏は1993年(平成5年)、自動車船第一グループ長のポストに就いた。この異動で氏は、自動車メーカーのグローバル・ビジネスを目の当たりにし衝撃を受けた。自身の経験続き

【四海茫々】(337)道は近きにあり

 日本郵船の業革は、硬直化しつつあった社内の制度、慣行を見直し「バイタリティある企業風土」を取り戻すための全社運動だった。  明治維新の先駆けとなった坂本龍馬は「日本を今一度せんた続き

【四海茫々】(336)モノづくり異変

 まずお詫びを。前回、『日本郵船百年史』からの引用で、同社の業革チームは「1982年(昭和56年)設置」と紹介しましたが、西暦は1981年の誤りでした。訂正します。  さて業革に挑続き

【四海茫々】(335)虚仮の一念

 日本郵船の草刈隆郎氏はとび抜けて元気がいい青年だった。強心臓も持ち合わせていた。「何でも質問してくるし、私見もいう。真摯、率直でおもしろい後輩」と先輩諸氏に見られていた。そうした続き

【四海茫々】(334)戦う人の系譜

 少々、乱暴ながら、人は戦いに際して自ら先陣を切るタイプともっぱら後衛にとどまり戦局を見ながら行動するタイプの2つに大別できる。  先陣を切る人物として最も有名なのは、「獅子心王」続き

【四海茫々】(333)ガラガラポン

 塩野七生氏の『十字軍物語』にドイツの君候、ブルテンベルグ伯の言葉が紹介されている。  「世の中には推(すす)めるべきか、それとも推めないほうがよいのかと迷う事柄が3つある。第1に続き

【四海茫々】(332)憧れのロンドン

 日本郵船の草刈隆郎氏は1973年(昭和48年)から1977年(昭和52年)まで4年間にわたりロンドン支店勤務を経験した。日本経済と世界経済が大きく変化するさ中での駐在だった。  続き

【四海茫々】(331)肝と運

 草刈隆郎氏は日比谷高校でラグビーに出会い、「はまってしまった」という。それも半端ではない。  高校では3年生になってもラグビーの部活をやめなかった。ふつうは大学受験に備え、グラン続き

【四海茫々】(330)円空仏

 草刈隆郎氏は1940年(昭和15年)、東京・西麻布で生まれた。都立日比谷高校から慶応大学に進み、1964年(昭和39年)日本郵船に入社、1999年(平成11年)社長に就任した。 続き

【四海茫々】(329)体当たり泥まみれ

 「門閥制度は親の敵(かたき)でござる」  慶応義塾の創立者、福沢諭吉(1835~1901年)が『福翁自伝』に遺した言葉である。この人は幕末、明治の時代を代表する啓蒙家、アジテータ続き

【四海茫々】(328)三菱と慶大

 発足直後の日本郵船は、共同運輸側の反三菱勢力が経営を主導する形になっていた。それは共同運輸系3人、三菱系1人、中立系1人という理事構成に歴然としている。しかも共同運輸側のいわば奥続き

【四海茫々】(327)三菱の大番頭

 日本郵船は1885年(明治18年)9月29日の発足に際し、白地に赤2線を意匠した旗章「二引(にびき)の旗」を制定した。  『日本郵船百年史』は大略、次のように説明している。  「続き

【四海茫々】(326)曾祖父

 日本郵船は1885年(明治18年)9月29日を創業記念日としている。郵便汽船三菱会社と共同運輸が合併し日本郵船が誕生した時であり、異を挟む余地はない。  が、合併以前の前身企業が続き