1. コラム

2017年4月21日

【四海茫々】(244)7日間と半日

 転法輪奏氏は「まさに目を洗われる思いでした」と語った。マイク・デイム氏の講義を振り返っての述懐である。氏を含む邦船3社6人のヤング・エグゼクティブがイスブランセン社(本社:ニュー続き

2017年4月21日

【四海茫々】(256)風光る

 生田正治氏に記者が初めて会ったのは1977年(昭和52年)6月だった。このとき大阪商船三井船舶の永井典彦社長が日本船主協会の会長に就任し、東京・平河町の海運ビルで記者会見に臨んだ続き

2017年4月14日

【四海茫々】(243)変哲もないただの箱

 記者は在来型貨物船をほとんど知らない。外見を遠望したことはあるが、船内に入ったことがない。話はよく聞かされた。みなさん在来定期航路サービスの醍醐味を縷々語り、物懐かしげな風情だっ続き

2017年4月7日

【四海茫々】(242)ベル・エポック

 米国マックリーン・インダストリーズ社(シーランド・サービス社の前身)による海上コンテナ輸送の勃興から10年が経過した1967年(昭和42年)、大阪商船三井船舶の転法輪奏氏は“黒船続き

2017年3月31日

【四海茫々】(241)転法輪三條家

 古代の人々が育んできた神話や伝説などの物語は、そのほとんどが想像力の産物とされている。だから人類にとって想像力は心のうちを潤す泉水のようなものに違いないのだが、凡俗の輩が想像力を続き

2017年3月24日

【四海茫々】(240)宗旨替え

 転法輪奏氏はコンテナ化をやるために生まれてきたような人である。もっとも出会いははなはだ芳しからずというものだった。  氏が米国イスブランセン社でコンテナリゼーションの研修を受ける続き

2017年3月17日

【四海茫々】(239)辞令を拒否

 1989年(平成元年)6月、大阪商船三井船舶は転法輪奏副社長の社長昇格を正式決定した。前任の相浦紀一郎氏は昭和最後かつ平成劈頭の社長を務め、会長に退いた。  竹下内閣の官房長官だ続き

2017年3月10日

【四海茫々】(238)白雲去る

 倉成正外相(1986年7月~87年11月)と日本船主協会首脳(相浦紀一郎会長/宮岡公夫副会長)の会談は、小野晋・日本郵船会長(当時)の尽力で実現した。  そのやりとりは本欄前回で続き

2017年3月3日

【四海茫々】(237)自衛艦派遣ならず

 本欄前回で、相浦紀一郎氏の社長就任は苦渋の日々の始まりだったと書いた。  氏が副社長3年を経て社長に昇格したのは1984年(昭和59年)。明けて85年(昭和60年)の2月18日、続き

2017年2月24日

【四海茫々】(236)苦渋の始まり

 相浦紀一郎氏は1984年(昭和59年)、大阪商船三井船舶の社長に就任した。鉄鋼、エネルギー、自動車はじめ大手荷主や同業他社、造船など関係各方面がこぞって氏の昇格を歓迎し祝意を表し続き

2017年2月17日

【四海茫々】(235)力戦奮闘の人

 大阪商船三井船舶の相浦紀一郎氏は敵を多くつくらない、むしろ利害対立者をも味方に引き込む徳望の士であったが、営業活動では闘志旺盛、力戦の人であった。  営業に注ぐ意欲は社長職を退い続き

2017年2月10日

【四海茫々】(234)善の善なる者

 「一、金五両/右馬代/くす(寄こす)か、くさぬか、こりゃどうじゃ。くすというなら、それでよし。くさぬとなれば、おれがいく。亀の腕には骨がある」(原文は縦書き)  江戸期にしたため続き

2017年2月3日

【四海茫々】(233)物の怪

 西鶴の浮世草子『世間胸算用』に「世の中に下戸の建てたる蔵もなし」がある。酒呑みにすれば、ちょっと嬉しい文章である。  大阪商船三井船舶の相浦紀一郎氏ならもっと肯定的に「酒のおかげ続き

2017年1月27日

【四海茫々】(232)合併が画期に

 1964年(昭和39年)の海運集約は政府の強制により実施された。海運企業にすれば他に選択の余地がなく窮余の対応だったが、集約合併後の経営は想定を超えて好転し、大阪商船三井船舶は3続き

2017年1月20日

【四海茫々】(231)時来れり

 「青山は動かず、白雲自ら去来す」という。勝海舟が遺した揮毫にこの禅語が見られる。商船三井の相浦紀一郎に似合いそうな言葉である。氏は企望をたくましくして自ら駆け出す人ではなかったが続き

2017年1月13日

【四海茫々】(230)路を譲る

 元日、正月といっても心を新たにする感じは年々遠のいて行く。あの一休さんは「門松は冥土の旅の一里塚。めでたくもありめでたくもなし」と詠んだ。夏目漱石は「元日を御目出たいものときめた続き

2016年12月22日

【四海茫々】(229)ポートフォリオ原風景

 1963年(昭和38年)12月19日、大阪商船と三井船舶の両社は合併に合意し調印した。「企業基盤を強化しコモン・キャリアーとして飛躍的に発展する」ための大同だった。  合併期日は続き

2016年12月16日

【四海茫々】(228)ブルーな婚活

 「婚活」は「就活」をもじった造語だという。この言葉が人々の口の端に上るようになったのは21世紀に入ってから。2008年(平成20年)には叢書の『婚活時代』が出版され、婚活ブームを続き

2016年12月9日

【四海茫々】(227)てんやわんや

 獅子文六の小説に『てんやわんや』がある。1948年(昭和23年)12月から翌年4月にかけ毎日新聞で連載された。敗戦からまだ日も浅く、人々は日々の暮らしを立てるため大わらわだった時続き

2016年12月2日

【四海茫々】(226)変化の坩堝

 三井船舶の相浦紀一郎氏は1959年(昭和34年)、カナダのバンクーバーに赴任した。  氏は熊野修一営業部長の下で鉱石専用船2隻の発注商談に携わり、その契約を終えてから異動した。同続き