1. コラム

2018年3月9日

【四海茫々】(285)混沌が熱源に

 幕末の動乱の中で別子銅山と住友家の危急を救った広瀬宰平(1828~1914年)は1877年(明治10年)、住友家総理代人(後の初代総理事)に就任した。  明治10年は西南戦争が勃続き

2018年3月2日

【四海茫々】(284)逆命利君

 住友財閥の興りを記述し、その上で広瀬宰平、伊庭貞剛の話にと思い立ったが、すぐに立ち往生してしまった。予備知識がないに等しいと知ったからである。  あえて書き進めれば「言者不知」の続き

2018年2月23日

【四海茫々】(283)破格の人

 JR湖西線が走る滋賀県北西部の高島市に安曇川なる駅が存在する。安曇は「あずみ」ではなく、「あど」と読む。安曇川は鯖街道の中継地として栄えた土地である。北に若狭小浜、南に進めば比叡続き

2018年2月16日

【四海茫々】(282)大団円

 商船三井の生田正治氏が社長時代に残した事績は多岐にわたる。ナビックスとの合併はその最たるものだが、他にも数多(あまた)ある。  まず本店所在地の大阪で開催してきた株主総会を東京に続き

2018年2月9日

【四海茫々】(281)快哉

 競争がなければ動物は小型化する。逆に競争があれば動物は大型化を目指すようになる。企業しかり。競争に勝ち残るため大型化を計ろうとする。その際の手っ取り早い手段はM&A(合併や買収)続き

2018年2月2日

【四海茫々】(280)合併観を一新

 「競争相手がいなくなると動物は小型化する」。太古、地中海が干上がり、アフリカから欧州にやって来た象たちの化石がそれを証明しているという。天敵がいないため大型化する必要がなく、次第続き

2018年1月26日

【四海茫々】(279)せんたくいたし候

 旧ジャパンラインは1986年(昭和61年)3月、希望退職者の募集を締め切り、同年10月には新会社『ジェー・エル シッピング』への従業員移籍を完了した。その要員規模は海陸合計154続き

2018年1月19日

【四海茫々】(278)妙手

 サムライ資本主義の淵源は聖徳太子の教えにあった。  記者が偉そうに言うことではないが、古代史研究家、東野治之氏の著書によると、太子は一個人の悟りを求める小乗仏教を否定し、生きとし続き

2018年1月12日

【四海茫々】(277)聖徳太子の教え

 「駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまた草鞋を作る人」。この世の中には役割が異なる、いろんな人がいて、それでうまく回っている。そういう謂だという。大阪の四天王寺をお参りし、なるほどと実感続き

2017年12月22日

【四海茫々】(276)サムライ資本主義

 前回は、「仁術」という表現で旧日本興業銀行の経営姿勢を紹介した。当節、仁術なる言葉はほとんど使われず死語に近いかと思うが、1980年代の金融界には自行の収益より経済界良かれを慮っ続き

2017年12月15日

【四海茫々】(275)仁術

 中国、唐時代の宰相は「医は以って人を活かす心なり」と言った。貝原益軒の『養生訓』には「医は仁術なり。仁愛の心を本とし、人を救うを以って志とすべし」とある。また経済の語源になったと続き

2017年12月8日

【四海茫々】(274)石油危機で暗転

 「わが国船舶金融の貸付残高は日本開発銀行の7000億円をはじめとして総額でおよそ5兆円に達する。うち2兆5000億円から3兆円つまり半分以上が不良債権もしくは不良債権になる恐れが続き

2017年12月1日

【四海茫々】(273)世界最大級海運企業

 1994年(平成6年)、大阪商船三井船舶の社長に就任した生田正治氏はすぐさま『創造的改革』に着手した。掲げた謳い文句は「早期復配と世界一の海運総合オペレーターを目指す」。復配はま続き

2017年11月24日

【四海茫々】(272)ジンテージ

 「日本人には驚くべきレジリエンス(逆境から立ち直る力)がある」。佐藤智恵氏の著書『ハーバード日本史教室』の中で紹介されているイアン・ジャレッド・ミラー教授の発言である。また「日本続き

2017年11月17日

【四海茫々】(271)フェア・シェア

 大阪商船三井船舶、APL、ネドロイド、OOCLの日米欧亜4船社は1994年(平成6年)5月、アジア/北米とアジア/欧州の東西航路にまたがる共同配船グループの結成を発表した。この集続き

2017年11月10日

【四海茫々】(270)スーパーセル

 前回は悪いことが重なる話だったが、良いことも重なった。世の中は帳尻が合うようにできている。  がん摘出手術を受けた大阪商船三井船舶の生田正治氏はわずか1カ月余で仕事に復帰し、たち続き

2017年10月27日

【四海茫々】(269)竜の神通力

 悪いことは重なるという。大阪商船三井船舶の生田正治氏は自らが提唱し推進した情報システムの開発が失敗に終わり、転法輪奏社長に辞意を表明する一幕があった。これが91年(平成3年)春の続き

2017年10月20日

【四海茫々】(268)大業

 「知者は遅れて立つ」。賢哲が遺した言葉ではない。宮城谷昌光氏の小説で、主人公の華元がもらしたつぶやきである。中国春秋時代、宋の右師(執政)である華元は、賊軍を目の前にしても機先を続き

2017年10月13日

【四海茫々】(267)神無し仏無し

 大阪商船三井船舶は1986年度から88年度(昭和63年度)まで3期にわたり赤字決算と無配を余儀なくされた。円高による運賃収入の目減りが大きく響いた。人員合理化(緊雇対)や長期用船続き

2017年10月6日

【四海茫々】(266)富栄養湖

 テレビ番組『ブラタモリ』の十和田湖・奥入瀬編をみた。  十和田湖は1900年代初頭、湖畔の旅館経営者だった和井内貞行氏がヒメマスの移植、定着に成功したことで有名。かつては生息魚介続き