1. コラム

2019年1月11日

【四海茫々】(325)衝突そして新生

 三菱の創業者である岩崎弥太郎は、米国ハーバード大学で日本史を履修する学生たちに「非常に人気がある」という。佐藤智恵氏の著書『ハーバード日本史教室』の中で、ジェフリー・ジョーンズ教続き

2018年12月21日

【四海茫々】(324)獄中の発起

 某テレビ局が毎年、企業好感度を調査している。2018年(平成30年)はセブンイレブンが3年連続でトップとなった。以下、トヨタ自動車、無印良品、モスバーガー、キューピー、パナソニッ続き

2018年12月14日

【四海茫々】(323)小岩井農場

 今回から三菱の興りと1990年代以降の日本郵船について語ってみたい。のっけに持ち出す話は「宮沢賢治と三菱」。両者にはかつて深いつながりがあった、などと切り出せば、首をかしげる方が続き

2018年12月7日

【四海茫々】(322)先をつかむ

 隆慶一郎の小説『見知らぬ海へ』に「先をつかむ」なる表現が出てくる。海戦に臨み、敵より射程距離が長い大砲を装備した状態をいう。これなら負けるわけがない。戦国期から海戦用語として実際続き

2018年11月30日

【四海茫々】(321)バリューチェーン

 日本海運は敗戦の余燼が消えやらぬ中で船隊を復活させ、「第2の創業を果たした」とされている。「ゼロからの」というより負の遺産を背負った「マイナスからの再出発」であった。先人たちの汗続き

2018年11月22日

【四海茫々】(320)解はRORO荷役

 企画・設計と生産現場を比較した場合、生産性(収益性)において後者が劣後の関係にあるとは限らない。イノベーションに際してはむしろ優位、主体的な役割を果たすこともある。本邦海運界の事続き

2018年11月16日

【四海茫々】(319)ヒノキの教え

 情報設計はノウハウや製品の開発などを意味する。また、情報転写は生産行為を指す。情報設計はソフトウェア、情報転写はハードウェアと分けて理解することもできる。問題はその優劣にある。酒続き

2018年11月9日

【四海茫々】(318)価値創造型人材

 本連載前回の文末に出てくる設計情報と情報転写(生産現場)のくだりは、酒井崇男氏の著書『タレントの時代』からの引用である。  酒井氏の解説をさらに紹介すると、世界に冠たるトヨタ生産続き

2018年11月2日

【四海茫々】(317)求む変人

 2009年(平成21年)4月、商船三井は同年6月23日以降の役員体制を発表した。  鈴木邦雄会長、小出三郎副社長、原田英博副社長の3氏は退任と決まり、米谷憲一・青木陽一両専務が副続き

2018年10月26日

【四海茫々】(316)宮里優作

 商船三井の芦田昭充氏は若い頃、周りから「タフでクレバー」と評された。課長、部長時代の話である。  ひと口にタフといっても、人によってその様はいろいろ。芦田さんの場合はまず走ったり続き

2018年10月19日

【四海茫々】(315)グッドスイマー

 2008年(平成20年)のリーマン・ショックは世界金融危機と世界同時不況を招き、海運界も市況暴落に見舞われた。ドライバルク、VLCC、プロダクト船、コンテナ船などあらゆる船種に火続き

2018年10月12日

【四海茫々】(314)価値とミッション

 リーマン・ショックとは何だったのか。それを考える前にちょっと寄り道を。みなさんは、「マゼラン雲」をご存じだろうか。  雲といってもこの地球の空に浮かぶ雲ではない。われわれ地球人は続き

2018年10月5日

【四海茫々】(313)天国から地獄

 商船三井の鈴木邦雄氏は2004年(平成16年)6月、社長を退き会長に就任した。社長在任は2期4年。当時の鈴木さんに唱歌『鯉のぼり』を贈りたい。  「甍(いらか)の波と雲の波/重な続き

2018年9月28日

【四海茫々】(312)疾風迅雷

 商船三井の鈴木邦雄氏は2000年(平成12年)から2004年(平成16年)まで社長に在任した。この間、前代未聞の規模で船舶投資を展開し、まさに疾風迅雷の4年であった。  ただし、続き

2018年9月21日

【四海茫々】(311)新大陸

 本連載は86~93回の稿で世に有名な三井ファイトの顛末を紹介している。その中で同ファイトは「日本海運に戦後の目覚めを告げる春雷のようなものだった」と記述した。商船三井が2003年続き

2018年9月14日

【四海茫々】(310)クジラになった日

 商船三井は2000年(平成12年)から2004年(平成16年)までの4年間でおよそ4000億円に上る設備投資を記録した。その間、社長に在任していたのは鈴木邦雄氏。  それまでの設続き

2018年9月7日

【四海茫々】(309)チャージング・ブル

 日本には古くから撫牛(なでうし)の風習、信仰がある。「お牛の頭を撫でれば賢くなる」あるいは「ケガした足が痛いなら、お牛の足を触れ。すぐに治る」などというもの。子どもの時分にそう教続き

2018年8月31日

【四海茫々】(308)日々新面目

 最近は気象災害が頻発し、先行きどうなることかと気を揉む日々が続いている。記者が住む山あいの長屋の近くでも今夏は豪雨でがけ崩れが発生し、バス路線が1カ月ほど遮断された。浸水や土石流続き

2018年8月24日

【四海茫々】(307)不為也、非不能也

 「狂者は進取す」(『論語』)。この文章には一瞬、どきりとさせられた覚えがある。君子、賢者、知者などではなく、なぜ狂者なのかの疑念も湧いた。貶(けな)し言葉を充てた理由が解らない。続き

2018年8月10日

【四海茫々】(306)エル・ドラド

 大航海時代(15~17世紀)、欧州の探検家や侵略者たちは海の向こうの“エル・ドラド”(黄金郷)を求め、勇を奮って船出した。いつの時代も人の好奇心と欲望が働くままに世界は動き、変っ続き