2026年3月19日無料公開記事洋上風力発電
EEZ洋上風力、事業性や共存課題議論
風力発電展2日目、郵船・横山氏ら登壇
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パネルディスカッションのようす
東京ビッグサイトで開催されている「WIND EXPO【春】~第17回国際風力発電展~」では18日、1日目に引き続き関連セミナーや講演が多数行われた。「領海の課題からEEZへ ― 事業性・運用・共存をどう整えるか」をテーマとするパネルディスカッションでは、自然エネルギー財団の大林ミカ政策局長がモデレーターを務め、パネリストとして日本郵船の横山勉執行役員と丸紅洋上風力開発の真鍋寿史社長、大日本水産会の高瀬美和子専務理事が登壇。排他的経済水域(EEZ)への展開に向けた課題と展望を議論した。
パネルディスカッションで眞鍋社長はEEZでの洋上風力開発に向けた論点として、事業性確保をはじめ、コスト高や稼働率低下、売電制度の整備、国主導による海域調整、系統連系、サプライチェーンの構築を挙げた。特にコスト面については、離岸距離が遠くなることで建設費や運転保守(O&M)費が着床式に比べ大幅に増加すると説明。さらに厳しい海象条件により風車へのアクセス率が低下し、稼働率にも影響するとの見方を示した。
横山執行役員は船会社の立場から、着床式か浮体式かに加え、離岸距離が判断軸になると指摘した。両方式では必要となる船舶仕様が異なり、特に浮体式では必要となる船舶コストが大きくなると説明した。また、「秋田県に設立した船舶管理会社では日帰り作業が可能な点に興味を持つ方が多く、アピールポイントになっている」と紹介し、離岸距離が遠くなれば日帰りでの作業が困難になることから、人材不足が深刻な海運業界では若手確保がさらに難しくなるとの懸念を示した。
高瀬専務理事は水産業界の立場から漁業への影響について、回遊性魚類は移動パターンが年単位で変動し予測が難しい点を指摘した。そのため、年によっては洋上風力発電所と漁場が重複し、操業に支障が生じる可能性があるとした。合意形成に向けては、利害関係を有する漁業者の早期把握・特定の重要性を強調し、「事業が固まり、最終的な同意を求める段階で説明を受けても調整は難しい」と述べた。さらに、将来的な開発を含めた全体像の早期提示が不可欠であり、個別案件のみの提示では追加開発への懸念から反対意見が生じやすいとした。