2023年9月21日無料公開記事内航NEXT

西村組の作業船ゼロ災害活動が大賞
国交省の船員安全賞、特別賞に太平洋沿海汽船と東ソー物流

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 国土交通省は20日、2023年度の船員安全・労働環境取組大賞(トリプルエス大賞)を発表した。西村組の「作業船ゼロ災害への取り組み」が大賞を受賞。特別賞に太平洋沿海汽船の「ヒヤリハット情報収集の促進・効率化」、東ソー物流とコーウン・マリンの「やっちゃるぜ!船員健やかライフ!!〜運航会社と配乗子会社による健康意識向上に向けた取り組み〜」が選ばれた。
 西村組は労働災害ゼロに向けて船内で工夫を凝らした。例えば、工具保管場所に各工具のシルエットを書き、どの工具がどこにあるか一目瞭然にし、自然と正しい部分に収納できるようにした。また、ヒヤリハット事例を図にし、掲示板や甲板上など目につきやすい箇所に掲示するほか、毎日の朝礼や安全教育などでも活用し、同種の災害が起きないように注意喚起した。
 太平洋沿海汽船はヒヤリハット情報の共有を促進するため、報告件数1位の船を表彰し、副賞として1位〜3位の船の乗組員にカタログギフトなどを贈呈。報告書作成・提出の負担がかかるほか、処分や不利益取扱いを連想させるといった心理的ハードルを低減させた。加えて、収集方法を「Google Form」、「Google スプレッドシート」に変更。報告内容を自動で集計・整理し、内容をグラフ・一覧表で可視化できるようにした。事務担当者がエクセルに報告書を転記し、とりまとめ資料を作成する手間も省けるようになった。
 東ソー物流とコーウン・マリンは船員の健康意識向上に取り組んだ。オペレーターの東ソー物流では乗組員を対象として、船員法に基づく健康検査項目以外の検査項目を20年から独自で実施。健診結果の全体傾向をオペ・船主で共有し、特定保健指導の実施促進に注力した。配乗子会社であるコーウン・マリンは、乗組員とその配偶者を対象とした「福利厚生健診」を18年から実施し、重症化と停船リスクを軽減している。「福利厚生健診」では簡易がん検診「N−NOSE」や陽電子放出断層撮影(PET)なども費用を補助している。
 「船員安全・労働環境取組大賞(トリプルエス大賞)」は、船舶所有者、船員及びその関係者を対象に安全運航や船員の労働災害防止・健康管理・労働支援に関する先進的で優良な取組を選定し、幅広く周知展開する目的で実施される。

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