2024年2月21日無料公開記事内航NEXT

内航特殊船特化の土地柄を強みに
日生地区海運組合若潮会・座談会(下)

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<出席者(会社名50音順)>
岩崎汽船・岩﨑泰整社長(若潮会会長)
木下汽船・木下雅敏氏
協力汽船・杉谷卓哉総務・安全管理部長
晃山汽船・平野智紀社長
白石海運・雄島楓貴氏
丹羽汽船・丹羽耕一郎社長
久本汽船・久本良洋取締役(若潮会副会長)
明弘海運・佐藤政宏常務取締役
司会:海事プレス社関西支局長 坪井聖学

■日生ブランド形成向けて

 — いま課題をあげるとしたら何か。
 丹羽「船員問題もあるし、新燃料といった環境対策もある。船員については、今までのようなオーソドックスな船主業を続けていけるのだろうかと思っている。昔は船を所有して船員を雇用して安全運航していた。だが、船員をプールできるような体制づくりをしないと、結局、仕事が船員探しに追われて本末転倒になってしまう。環境対策でリプレースをしたくても、個人や個社でできる枠を超えている。みんなで情報交換しながら少しずつ前に進めたらと思う。横のつながりを活用しながらやっていきたい」
 久本「他地区の海運組合では情報交換が盛んだと聞いている。同じことをするのではなく、違ったことをやっていきたい。鉄道・運輸機構(JRTT)と備前日生信用金庫から先頃、『日生ブランド船』の提案を受けた。日生はケミカルタンカーが強いので、その強みを伸ばすため、新しい技術や経営の仕方も含めて、どういうものにしていくか考えていくことになる」
 — 内航ケミカル船など特殊船に特化した土地柄は他にはない。日生地区海運組合が昨年9月に開いた親睦会で、久本久治理事長が「日生をブランドとして発展させたい」と話していた。
 岩﨑「日生は昔から船どころと言われ、そういうイメージを持ってもらっている。特にケミカルは取扱いが難しくて技術が必要だ。技術を受け継ぎながらやっていきたい。環境にいい船とか、舶用メーカーも新しい技術を提案しているので取り組んでいきたい」
 — 日生としてほかに取り組んでいることは。
 岩﨑「STCW条約で船員の基本訓練が必要になっている。日生の船員基本訓練校アンカーズ・トレーニング・アカデミー(ATA)が認可を受けて、講習を受け付けている。岡山県では初めてで、実地訓練の生存訓練と消火訓練を1日で終了することができるのが特長だ」

■働き方改革の効果

 — 働き方改革について船社で影響はあるか。
 佐藤「働き方改革が適用されるようになって、オペレーターは労働時間を気にしてくれるようになった」
 雄島「オペレーターから労働時間を超えていないかどうかと聞かれることもあり、船長とどうやったらうまく組めるか配船で話し合ったりしている」
 杉谷「長く在籍している船員に聞くと、『休みが増えた』、『余裕が持てるようになったことはよかった』と言っていた」
 久本「船員向けに産業医制度ができた。今まで、調子がよくないように見える船員に健康に気をつけるように言ったりしても、たいてい聞いてくれない場合が多かった。しかし医者が注意すると理解して応じてくれるようになった。船主にとって船員の健康管理は大事だ。専門家である医者が見てくれることはありがたいと思う」
 — 最後に一言。
 岩﨑「若潮会は発足した当時とはあり方が変わってきているが、みんなで新しい技術を勉強したりして取り組んでいきたい」
 丹羽「横のつながりをもって、協力できるところは協力していきたい。いろんな人がそれぞれ考え方やアイデアを持っているので、情報交換しながらやっていっていいと思う。日生の事務所にずっといたりすると、業界の変化に気付かないこともあって、ふと周りを見渡してみたら以前とちょっと違う、というときもある」
 佐藤「他地域と比べても、ここは意見交換が少ないと思うので増やしていきたい」
 平野「働き方改革やルールがどんどん増えてきていて、陸上の実務も増えている。横のつながりを大事にして情報共有を含めてやっていきたい。日生が好きなので、少しでも船主に残ってほしいと思っている」
 雄島「業界に入って数年だが、いろんな人たちと話しをさせていただく場があると、考えも生まれてくるのでこうした場を活用していきたい」
 木下「私もまだ勉強中というところで、みなさんの話をこれからも聞いていきたいと思っている」
 杉谷「まだまだ勉強することばかりだ。きょうはみなさんの話が聞けてよかった」
 久本「日生全体では、海運の認知度を上げて、行政からも注目してもらえるような立ち位置にしていければと思う。若潮会は情報共有できる場として重要だ」
 — 本日はありがとうございました。

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