2024年2月27日無料公開記事洋上風力発電

響灘に新造CTV2隻提供
東京汽船、商業ベースの洋上風力を支援

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進水式での“PORTCAT ひびき”

 東京汽船は新規のCTV案件として、ひびきウインドエナジーの運営する「北九州響灘洋上ウインドファーム」で新造CTV(洋上風力発電交通船)2隻を運航する。
 長期にわたりO&M(オペレーション&メンテナンス)に用いられる予定で、今年4月から小型船舶型CTV1隻、来年4月から大型船舶型CTV1隻を投入する。このうち小型船舶型(19トン船)は、ツネイシクラフト&ファシリティーズ(広島県尾道市)が東京汽船向けの5隻目のCTV(4隻目の小型船舶型)として建造中で、船名は“PORTCATひびき”。大型船舶型は全長27mで、Incat Crowther(英国)が東京汽船向けの標準モデルとして設計したもので、海外で建造中。
 同社はCTVの運航実績が豊富。これまでに福島、銚子、響灘の政府実証事業のO&Mのほか、商業プロジェクトでは秋田港・能代港に5隻、石狩湾新港に4隻、富山・入善に1隻を建設段階で提供してきた。CTV事業のみならず、石狩湾新港では清水建設から業務委託を受けて、建設段階で使用される船舶の作業状況の管理や関係者との調整などを行うマリンコーディネーションも担った。
 CTVの運航を支える人材の養成にも力を入れる。最新鋭のVR(仮想現実)型3D・CTV操船シミュレーターを今春に導入予定。同社はこれまでのCTV運航で培った経験を基に訓練プログラムを確立しており、総合的な訓練の一環でシミュレーターを利用する。自社船員の養成に用いるとともに、外部にも開放する。今回導入するシミュレーターを用いたCTV用訓練プログラムを提供している欧州企業との提携も予定している。
 東京汽船は、曳船や水先艇、CTV、交通船、港内観光船、ローカルカーフェリーなどの事業をグループとして運営する。CTV事業を同社が中核事業のミッションとする「海上安全のサポート」に合致するものと位置付ける。SOV(風車建設・メンテナンス専用船)の事業開発も検討している。新エネルギー・産業技術総合開発機構のグリーンイノベーション基金事業で日本の気象・海象に適したSOVのコンセプト設計を進めているコンソーシアムの一員。
 齊藤宏之社長は「今後、洋上風力発電プロジェクトが浮体式などより沖合に立地されるにしたがってSOVの需要が出てくるであろう。CTVとマーケット面での親和性の高いSOVについても事業関与のあり方を模索している」と語る。
 同社はまた、曳航用タグボート事業の合弁会社「インディゴ オーシャン サポート」を2月に渋田海運と設立した。その事業に投入する中古曳船1隻を買船しており、洋上風車建設にあたって必要な資機材の曳航で事業機会を捉える。

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