2026年4月27日無料公開記事SEAJAPAN2026
【Sea Japan 2026】
水素燃料船の成立性を確認
川重・ヤンマー・J-ENGと尾道造船、内航・外航で検証
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会場のようす
川崎重工業、ヤンマーパワーソリューション、ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)の3社は22日、国際海事展「Sea Japan 2026」のセミナーで舶用水素燃料エンジンの開発をテーマに発表し、水素燃料船のコンセプト設計を通じて、同船の成立性について見込みが得られたと報告した。あわせて、液化水素バンカリング自動化技術の開発に着手していると説明した。
3社は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業として、舶用水素燃料エンジンと舶用水素燃料タンク・燃料供給システム(MHFS)の開発を進めており、合弁会社HyEngを通じて共通課題の解決などにも取り組んでいる。
水素燃料船のコンセプト設計については、尾道造船、J-ENG、ヤンマーパワーソリューション、川崎重工の4社で実施した。社会実装を見据え、内航・外航船の双方で成立性を検証した。船種の選定にあたっては、比較的短距離を航行する船や旅客輸送を行う船、居住地付近の港に入港する船、鉄道・トラックなどとの競合から減速運航が難しい船といった条件を設定。これらを踏まえ、内航船では大型RORO船を検討対象として選定した。外航船ではMR型プロダクト船を対象とした。
RORO船では国内主要航路を想定し、バンカリング拠点の制約を踏まえて1往復分の燃料搭載を前提に検討した。燃料タンクは甲板上配置と船内配置の双方を比較し、いずれも成立性に問題はないとした。
MR型プロダクト船についてはペルシャ湾―ロッテルダム港間を想定し、減速運航を前提に設計を検討。タンク配置や船体への影響を踏まえ、成立性を確認した。
これらの検討を踏まえ、RORO船とMR型プロダクト船のいずれでも成立する見込みが得られたとした。導入初期は近距離航路やバンカリングに自由度のあるエリアでの運用が現実的とし、今後は水素サプライチェーンやインフラ整備の進展に伴い普及が拡大すると見込まれる。
船主・オペレーターからの声も紹介。水素燃料船は二酸化炭素(CO2)排出削減の観点で優位性があり、営業上の強みとなる可能性がある一方、建造コストの増加や燃料タンクの重量・容積による積載貨物の減少、バンカリング制約、人材育成などの課題が指摘された。
バンカリングについては、水素エンジンとMHFSの実証には不可欠な技術である一方、液化水素では確立された手法がないと指摘。そのため、非定常作業となるバンカリングの自動化を進め、安全性と充填効率の向上を図る必要があるとした。開発は川崎重工が担い、水素エンジンやMHFSとあわせた一体提供により、安全かつ効率的な水素燃料の導入を目指す。
3社はこの日、各社の水素エンジンの開発状況についても説明した。水素エンジン、MHFS、バンカリングを組み合わせた一体提供を進め、実証を経て水素燃料船の社会実装につなげていく方針を示した。