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2024年2月27日無料公開記事洋上風力発電

風車保守の北拓に出資、他社との連携加速
商船三井

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SOVのイメージ

 商船三井は今年1月、風力発電メンテナンス国内最大手の北拓と資本提携することを発表した。北拓の発行済み株式の過半数を取得し、連結子会社化。商船三井グループは経営計画「BLUE ACTION 2035」で非海運事業のさらなる成長を遂げるための一環として洋上風力発電関連事業を位置づけており、これを推進するものになる。
 同社は洋上風力発電が先行する台湾、そして日本で実績を積み上げながら、建設前の立地環境調査、建設部品や資材の海上輸送、発電設備の運用・保守に関わる作業員の派遣など、幅広い事業を展開する。この1年をみても、新たな展開が相次いだ。
 洋上風力向けの特殊船については、以前から出資を通じてSEP船事業に参画し秋田港・能代港のプロジェクトに投入した実績があったが、昨年は台湾の事業で風車のメンテナンスなどを支援するSOVについて2隻目の新造を決めた。今後拡大が見込まれる浮体式洋上風力発電分野で特色を出していく考えの下、国内でもSOVの需要が増えてくることを見据え、オペレーションの知見を蓄積する。作業員を支援する船としては昨年、CTV事業にも参入した。2隻を対象に清水建設と定期用船契約を締結し、石狩湾新港に投入した。このほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業で送電ケーブルの接続や埋設を行うための船舶を開発する。
 他企業との提携も一段と進めている。その1つが国内最大の独立系風車メンテナンス企業である北拓への出資だ。数万点の部品で構成される風力発電機の安定した運転を支えるためには長期間にわたる適切なメンテナンスが不可欠になる。2030年以降本格的に運転を開始する国内の洋上風力発電のO&M(オペレーション&メンテナンス)、長期的には海外事業への進出に向けた仕込みも進めていく考えだ。
 商船三井と北拓はこれまでも風力発電バリューチェーンで共同事業を進めてきた。業界のパイオニアである北拓から総合的なアドバイスを受けることで風力発電業界への新規参入を加速した。19年には北拓の紹介により島根県益田市陸上風力発電事業に参画。21年には洋上風力発電事業への投資を目的としたファンド「北拓・MOLウインドエナジー投資事業有限責任組合」を両社で設立し、その第1号の投資案件として昨年、北九州響灘で洋上風力発電事業を推進するひびきウインドエナジーの10%株式を保有する特別目的会社への投資を実行した。また、22年には資源エネルギー庁の補助金を受け、北拓北九州支店に洋上風力発電設備の保守作業員向けのトレーニング施設の建設を開始している。
 また、洋上風力発電事業そのものに参画していることが商船三井の特徴の1つ。発電事業に入ることで、洋上風力の運営から保守などさまざまな面で理解を深めることができ、そこから導き出された需要に対して最適なサービスを提供することができるためだ。
 他社との連携では、昨年、海洋工事大手の東洋建設と洋上風力発電事業の合弁会社の設立に関する契約を締結した。折半出資の合弁会社を通じて、洋上風力に関する調査計画・作業船調達、海上工事などの幅広い分野で事業の確立を目指す。
 バリューチェーンを通じた取り組みを加速する商船三井グループは、人材育成の分野でも取り組みを広げている。その1つが、子会社のMOLマリン&エンジニアリングと22年に開設したトレーニングセンターだ。作業船に必要なDP(ダイナミック・ポジショニング)技術の訓練を提供する。その訓練コースを充実させており、日本で初めて洋上風力発電向けのSEP船とSOVの乗組員に対するDPシステムの操船・運用訓練サービスを提供することも決めている。

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