2025年12月23日無料公開記事ニッポン海運の海外拠点
洋上風力発電
《シリーズ》ニッポン海運の海外拠点【台湾】
台湾輸送需要を横断的に開拓
川崎汽船、LNG船・洋上風力など新領域も
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川崎汽船は台湾で3社体制を敷く(写真は日商川崎汽船代表の嶋田氏)
川崎汽船は1986年の台湾進出以来、コンテナ集荷を中心に、ドライバルクや自動車輸送など事業分野を広げてきた。2019年には現地法人「日商川崎汽船股份有限公司」を設立し、現在、川崎汽船グループとしては、日商川崎汽船に加え、船舶代理店業や現地での営業活動などを担う「台湾川崎汽船股份有限公司(“K”LINE〈TAIWAN〉LTD.)」、フォワーダー事業の「天行空運代理股份有限公司(“K”LINE AIR SERVICE〈TAIWAN〉LTD.)」の3社体制を敷く。
日商川崎汽船は台湾川崎汽船とともに、台湾における海運事業全般の拡大に向けた情報収集と、ローカル顧客やパートナー企業との関係強化を進めている。対象はドライバルク、エネルギー資源輸送、自動車船など、川崎汽船の主力事業全般に及ぶ。台湾川崎汽船では船舶代理店業に加え、自動車船向け貨物のブッキングやハイ・アンド・ヘビー貨物の集荷、ドライバルク船の営業サポートや本船オペレーションを行っている。
LNG船や洋上風力分野では新規開拓を狙う。台湾では半導体産業の拡大や人工知能(AI)・データセンターの需要増に伴い電力需要が増加する見込みだ。加えて、低・脱炭素化に向けたエネルギー政策が進み、LNG火力や洋上風力の増加が確実視され、将来的には水素・アンモニアの導入も見込まれる。
台湾のLNG調達は売主が船を手配するDES契約が多く、今後は買い主側が船を手配するFOB契約が拡大する余地もあることから、川崎汽船台湾駐在員で日商川崎汽船代表の嶋田仁之氏は「将来的には台湾の電力、エネルギー会社と直接輸送契約を締結できる可能性がある」とみる。
洋上風力分野では作業船需要も旺盛だ。「台湾で洋上風力関連事業を進めるには、ローカルパートナーとの協業が最適だと考えている。」(嶋田氏、以下同)川崎汽船と川崎近海汽船の合弁会社のケイライン・ウインド・サービス(KWS)はシンガポールの船会社マルコポーロ・マリーンと協業に向けた基本合意書(MOU)を結んでおり、同社の台湾子会社とも連携しながら、洋上風力関連船ビジネスへの参入を検討している。
自動車船分野では、OEM各社の現地法人や支社からのブッキングの受領、情報収集や、台湾のターミナルとのコーディネーションを行う。さらに、自動車船の空きスペースを活用し、大型機械などのハイ・アンド・ヘビー貨物を台湾向け・台湾出しで取り扱うニーズもある。「ハイ・アンド・ヘビー貨物は、当社グループ自動車船事業の関連事業として注力する分野で、“K”LINE AIR SERVICE〈TAIWAN〉LTD.とも協働しながら、台湾でも集荷活動に取り組んでいる」
ドライバルク分野では、鉄鉱石や原料炭、一般炭、石灰石、スラグ、鋼材などの台湾向け輸入・輸出でローカル顧客とのビジネスを展開してきた。台湾全体のバルク輸送需要については「今後大きな伸びは期待しにくい」としつつも、「既存顧客との取引拡大に加え、これまで取引の少ない荷主との商売拡大余地はまだある」とみる。川崎近海汽船を含めたグループ全体の新規顧客開拓に力を入れる。
台湾の魅力について、「世界屈指の親日国であり、日本のサービスや製品、日本企業に対する信頼が非常に高い」と語る。日本との地理的な近さやアクセスの良さも、ビジネスのしやすさにつながるとした。