2026年4月15日無料公開記事SEAJAPAN2026
若手主導で「未来の港湾」描く
日本郵船、「目指す社会」から技術抽出、共創へ
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「未来の港湾」の絵姿
日本郵船は、新技術開発を担う技術開発グループの若手・中堅社員を中心に「未来の港湾」の絵姿を描いた。4月22~24日に都内で開催される国際海事展「Sea Japan」で掲示し、業界内外の関係者との議論を通じて実現に必要な要素技術を抽出し、次の技術開発につなげる。
2025年4月に発足した技術開発グループは、中期経営計画における「探索」領域を担い、アンモニアや水素などの代替燃料船、洋上風力発電、宇宙などの分野で新技術を導入した多様なプロジェクトを進めている。
今回の取り組みは、こうした技術開発の中で生まれた問題意識が出発点となった。「日々進めるプロジェクトの価値を社内外に発信するとともに、目指す社会像を可視化することで真に重要な要素技術を見極め、将来の技術開発につなげたい」、「技術を通じて実現したい社会像を発信して広く共有し、海事業界の関係者と意見交換を行いたい」。エネルギーや物流、海洋利用が複雑に交差し、新機軸の船が増える中、求められる技術は多様化・高度化しており、一社での実現は難しい。パートナーとの共創を前提に議論を深める必要があるとの認識が根底にあった。
「いまある技術の延長ではなく、目指す社会から逆算できないか」。この発想に立ち、1枚の絵を起点に議論する手法を採用した。関係者が同じビジョンを見ながら指をさし、課題や可能性を共有し、ともに未来を形づくることを目指す。
未来の絵姿の検討では、若手・中堅社員が事務局となり、他部署も巻き込んでブレーンストーミングを実施。概念的な視点から具体的なプロジェクトの延長線まで発散的に議論を重ね、コンセプトを整理して1枚のイラストにまとめた。
舞台に選んだのは「港湾」だ。海運を基盤とする同社の原点であると同時に、海と陸、沖合、さらには宇宙にまでつながる結節点となる。エネルギーや人、モノ、情報が交差する場として、未来社会を象徴的に描くのに最も適しているからだ。
描いたのは従来の物流拠点の延長ではない。既存の輸送機能にとどまらず、エネルギーや人、知が集積し、研究や観光も含めて多様な価値が行き交う「活気ある未来の社会」だ。コンセプトは「環境にやさしい」「ロジスティクスの進化」「海の価値を引き出す」「ヒトが交わる場所」の4つのキーワードで構成した。
イラストは中央に島を配置し、その周囲に港湾から沖合、海底、宇宙まで広がっている。4つのコンセプトごとに要素を配置し、自律運航、次世代燃料、洋上エネルギー、新たな輸送や海洋利用など、多様な技術が重層的に組み合わされる姿を描いている。
既存プロジェクトやその延長線上の技術に加え、構想段階のアイデアも盛り込み、検討を通じて各プロジェクトに共通して必要となるコア技術の存在も浮かび上がった。
表現はあえて手書き風とし、解釈の余白を残した。完成された未来図ではなく「議論のきっかけ」とするためで、関係者が同じ絵を見ながら課題や可能性を議論するプロセスそのものに価値を置いた。
技術開発グループの加藤淳グループ長は「若手が主体的に取り組んだ点が意義深く、発想も豊かで見ていてわくわくする。共創は、外部パートナーと同じ方向を向くことが重要だが、言葉だけでは難しい。絵にすることで共通認識を持ちやすくなり、議論のツールにもなる」と語る。
今後、次世代燃料、自律運航など既に取り組んでいる技術開発に加え、目指す社会に向けて必要となる重要な要素技術を整理していく。
若手の発想から生まれた1枚の絵を起点に議論を深め、共創パートナーとの連携、要素技術の具体化につなげる。
若手・中堅社員を中心に描いた