2024年12月26日無料公開記事洋上風力発電

青森県沖・山形県沖の事業者決定
洋上風力公募、2区域ともにSGの15MW風車採用

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 国土交通省と経済産業省は24日、第3ラウンドとなる一般海域の洋上風力発電事業者公募の結果を発表した。「青森県沖日本海(南側)」はJERAらのコンソーシアム、「山形県遊佐町沖」は丸紅らのコンソーシアムが選ばれた。両者ともにシーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジー製の15MW級風車を採用し、2030年6月の運転開始を目指す計画だ。今回の公募では参加者全てが価格点で満点となる120点を取ったため、事業の実施能力や地域との調整力などの事業実現性が決め手となった。
 「青森県沖日本海(南側)」の公募には3事業者が参加し、JERAとグリーンパワーインベストメント、東北電力のコンソーシアム「つがるオフショアエナジー共同体」が落札した。同コンソーシアムは迅速性や事業計画の実行面、電力安定供給に向けた取り組みのほか、漁業関係者との調整や漁業に配慮した風車レイアウトなどが高く評価された。
 同コンソーシアムはシーメンス・ガメサの15MW級風車41基を設置する計画。青森港を基地港湾として2028年4月から30年8月まで利用する。O&M港湾については青森港と津軽港を30年4月から55年9月まで利用する。また、サプライチェーン強靭化に向け、シーメンス・ガメサとともに予備品保管庫、修繕工場、トレーニング施設などのさまざまなO&M機能を集約した「O&M集積ベース」を構築する予定だ。青森港・津軽港に北九州港を加え、各港湾の特徴を活かして連携する。また、人材については独自の「風力人材ネットワーク」の仕組みを構築する。
 同公募にはこのほか、コペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズが管理する投資ファンド子会社のCI IVトランスファー・コーポレーティフと東急不動産、北陸電力、戸田建設のコンソーシアムと、ヴィーナエナジー洋上風力が参加した。
 「山形県遊佐町沖」の公募には4事業者が参加し、丸紅と関西電力、BPイオタ・ホールディングス、東京ガス、丸高のコンソーシアム「山形遊佐洋上風力合同会社」が落札した。同コンソーシアムは迅速性や運転開始までの事業計画のほか、これまでの実績で培った経験を活かした関係行政機関などとの調整能力、地元漁業の発展につながる取り組みなどが高く評価された。
 同コンソーシアムはシーメンス・ガメサの15MW級風車30基を設置する計画。基地港湾として酒田港を28年4月から31年3月まで利用する。洋上工事は2029年3月から開始する予定だ。サプライチェーン形成計画では、風車の主要部品の国産化・複線化・短納期化を図るとしている。主要部品以外についても国内サプライヤーの洋上風力向け新技術・製品開発への支援などに取り組む。人材確保については詳細な人材育成計画の策定や雇用創出施策を講じるとともに、コンソーシアム企業やそのグループ企業の人材プールを最大限活用するとしている。
 同公募にはこのほか、ユーラスエナジーホールディングスとエクイノール・ジャパン、ENEOSリニューアブル・エナジー、豊田通商、戸田建設のコンソーシアムや、東京電力リニューアブルパワーと住友商事、三井不動産、東日本旅客鉄道のコンソーシアム、九電みらいエナジーとSSE遊佐洋上風力発電、石油資源開発のコンソーシアムが参加した。
 公募では供給価格と事業実現性について各120点の計240点満点で評価を行っている。供給価格がゼロプレミアム水準以下の場合は一律120点として評価することとしており、今回の公募における同水準は3円/kWh。

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