2023年11月28日無料公開記事洋上風力発電

TLP型浮体設置方法の妥当性確認
大林組

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 大林組は22日、3Dプリンターで製作した模型でTLP(テンションレグプラットフォーム)型浮体式洋上風力発電施設の設置方法の妥当性を確認したと発表した。コンクリート浮体の模型を製作し、水槽実験で大型の起重機船を必要としないTLP型浮体基礎の設置・係留シミュレーションを行った。
 大林組はTLP型浮体式基礎を考案し、日本海事協会から設計基本承認を取得している。TLP型のコンクリート浮体は水密性が重要であり、接合部なく製作することが理想とされている。同社は開発したサポート材を土台としてその上にセメント系材料を吐出して積層する技術を用い、接合部を設けることなく一体造形でTLP型浮体模型を製作した。同技術は接合部なく複雑な形状を製作できることから、水密性だけではなく強度などが求められる複雑な形状にも適用できるとしている。
 今回の実験では、曳航、設置、係留のそれぞれの状態を想定し、制作した模型の内部に重量やバランスを調整するバラスト水を入れることで、それぞれの状態を再現し、重心計測のために模型が傾斜した状態も再現した。同時に、浮体模型の実際の状態と、シミュレーションソフトで予想した状態を比較し、シミュレーションソフトの妥当性も合わせて検証している。実験の結果、バラスト水の注排水によって浮体の姿勢を制御できること、シミュレーションソフトによる解析結果と実際の状況が比較的よく一致することが確認できた。
 大林組は今後、同実験の成果を踏まえてさらなる技術開発と実証実験を積み重ね、TLP型浮体式洋上風力発電施設の具体的な施工方法を確立していく方針だ。また、今後も浮体式を含めた洋上風力のEPC分野における競争力を強化することで、脱炭素社会の実現に貢献していくとしている。

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