2024年10月1日無料公開記事洋上風力発電
一般海域洋上風力や浮体式実証に参画
中部電力グループのシーテック
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セミサブ型ハイブリッド浮体設置イメージ図(カナデビア提供)
中部電力グループのシーテックは一般海域で秋田2海域、千葉1海域の洋上風力発電事業に参画しているほか、愛知県沖での浮体式洋上風力発電の実証事業者に選定されるなど、国内で着実に事業を展開している。また、中部電力でも洋上風力発電、陸上風力発電やバイオマス発電などを手掛けており、グループ全体で再生可能エネルギー発電事業の取り組みを進めている。
■総合技術企業のシーテック、再エネでは発電事業手掛ける
シーテックは1962年に中部電力の関係会社として設立され、グループの総合技術企業として送電線や変電所、水力発電設備の保守工事などを手掛けてきた。2000年代に入り再生可能エネルギー発電が拡大していく中で、事業者として発電事業に展開。2002年に参画した陸上風力発電事業を皮切りに太陽光発電や小水力発電事業も手掛け、近年は洋上風力発電にも進出、現在、約200MW(持分換算)の発電設備が稼働中だ。また、発変電設備の保守工事を担ってきた技術を生かし、風車ブレードや主要パーツの保守メンテナンスなども自前で行っている。事業の運営と開発を総括する組織として再生可能エネルギー事業本部があり、同本部内に発電設備の保守、太陽光、陸上風力、洋上風力の事業領域ごとに部門を設置、再生可能エネルギー事業の開発・保守に取り組んでいる。
洋上風力発電事業では、シーテックは一般海域の洋上風力発電事業者公募第1ラウンドである「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」の事業に参画、代表企業の三菱商事洋上風力らとともに開発を行っており、シーテックは主に技術分野を担当しているほか、建設会社として陸上送変電設備の工事も請け負う計画だ。
また、洋上風力発電の新たな取り組みとして、シーテックは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業で浮体式洋上風力の実証事業を愛知県田原市・豊橋市沖で行う。セミサブ型浮体で、15MW超級の風車1基を設置する計画だ。実証事業ではシーテックが幹事会社を務め、パートナーとしてカナデビア(旧・日立造船)と鹿島建設、北拓、商船三井が参画する。シーテックが実証事業全般のとりまとめを行うほか、風車調達や地元関係者との調整、環境影響評価などを担当、カナデビアと鹿島建設はそれぞれ浮体の製造や設置工事の低コスト化を検証していく。さらに北拓は浮体式洋上風力のメンテナンス手法の効率化、商船三井は耐候性のより高いCTV(クルー・トランスファー・ベッセル)の研究開発を行っていく。
■中部電力グループ全体で洋上風力に取り組む
中部電力グループでは脱炭素化やエネルギー自給率向上の観点から再生可能エネルギーの開発を積極的に取り組んでおり、保有・施工・保守を通じた再生可能エネルギーの導入目標として2030年頃に320万kW以上の拡大を設定している。同グループでは中部電力とシーテックがそれぞれ洋上風力発電事業に取り組んでおり、中部電力においても、長崎県五島市沖の浮体式洋上風力発電事業やオランダの洋上風力発電事業に参画するなど、グループ全体で積極的に洋上風力発電事業を展開していきたい考えだ。