2025年5月27日無料公開記事バリシップ2025
内航NEXT
【バリシップ2025】
船内見学は革新技術体感の場に
環境・デジタルの最新鋭船3隻が来港
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“HANARIA”の一般公開。隣には“弓削丸”
海事展「バリシップ」では毎回、今治港に船舶が来港して船内見学会が開催されるが、今回は、水素燃料旅客船“HANARIA”、次世代内航コンセプトシップ“ちゅらさん”、最新鋭の練習船“弓削丸”の3隻が今治港に並んだ。単に船舶を見るだけでなく、最先端の環境技術やデジタル技術を一般の人が船上で体験できる機会がもたらされた。
“HANARIA”は見学会の前日21日に「シップ・オブ・ザ・イヤー2024」の受賞が発表された。22~23日には体験クルージングが行われ、騒音や振動、臭いのほとんどない水素燃料電池船ならではの快適さを一般参加者も体験した。真っ白で流線形の外観も、話題を呼んでいた。
23日夕方には、“HANARIA”の船上で船舶のカーボンニュートラルをテーマとしたイベントも開催された。スナバコ(SUNABACO)がプロデュースした本イベントでは、燃料スタートアップの日本植物燃料が、モザンビークで栽培した作物「ジャトロファ」を原料としたバイオ燃料事業をプレゼンテーションし、商船三井テクノトレードの福島正男社長や伊藤忠商事の川﨑勝吾プラント・船舶・航空機部門長補佐らがトークショーで船舶の排出規制や燃料転換の現状などを紹介。バイオ燃料の有用性などを広く紹介する機会となった。
また会期中には、次世代内航コンセプトシップ『SIM-SHIP1 mk2』として昨年末に竣工した内航貨物船“ちゅらさん”の船内公開も行われた。デッキ上に搭載されたコンテナ型バッテリーシステムやブリッジの陸上サポートシステムの表示などを実際に見ることができ、本船前の新技術展示ゾーン「内航のミライエリア」と合わせて、内航船の次世代技術を実機を通じて体験できる構成となった。
さらに弓削商船の練習船“弓削丸”も来港。昨年竣工した本船は、陸上からの航海モニタリングをはじめとしたデジタル技術が特徴となるが、本船内では一般参加者もブリッジでタッチパネル型の大型電子海図に実際に触れたり、船内の大教室の様子を写した映像を機関制御室からモニターするなど、最新の練習船の様子を体験できた。
バリシップでは、初開催の2009年以降、今治港への船舶来港と一般公開が恒例となっているが、技術的にこれほど象徴的な最新鋭船が3隻そろって並ぶのは初めて。単なる船の展示にとどまらず、未来の海事産業を体感する場へと進化を遂げている。
“HANARIA”船内で行われたトークイベント
“弓削丸”で子供たちが船上機器を体験