2024年11月19日無料公開記事洋上風力発電
伊豆諸島沖で浮体式洋上風力導入へ
東京都、世界最大・GW級目指す
-
東京都は伊豆諸島沖に世界最大となるGW級の浮体式洋上風力発電導入を目指す。小池百合子都知事がアゼルバイジャンで開催中の国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)で明らかにし、15日に行った定例記者会見であらためてその意向を示した。
浮体式洋上風力を巡っては近年、中国や欧州で設置が進みつつあるが、その規模は10MW未満の風車数基にとどまる。現時点での世界最大の浮体式洋上風力発電所はエクイノールが開発したノルウェー沖の「ハイウィンド・タンペン」で、8MW級風車11基を設置、運転している。
一方で、世界でもGW級の浮体式洋上風力プロジェクト開発に向けた動きが見られる。英国では2022年にスコットランド沖の海域リース権益を対象とした入札を行い、落札したプロジェクトのうち13件、合計20GW弱が浮体式洋上風力発電プロジェクトだった。落札者のオーシャンウインズとメインストリームは英スコットランド沖で2.3GW規模のプロジェクト「アーベン浮体式洋上風力発電所」の開発を進めており、2030年代初頭の運転開始を目指す。また、SSEリニューアブルズが丸紅らとともに最大3.6GWの浮体式洋上風力発電プロジェクト「オシアン洋上風力発電所」の開発を行っている。このほか、スウェーデンやスペインなどでもGW級の浮体式洋上風力プロジェクトが発表されており、いずれも2030年頃の運転開始を目指している。
日本は浮体式洋上風力分野で世界に先駆けて開発・実証に取り組んできた。今年6月には新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業の「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトでフェーズ2の浮体式洋上風力実証事業の事業者が決定し、15MW超の風車を採用した実証が秋田県沖と愛知県沖で行われることが決まった。一般海域では長崎県五島市沖では2.1MW型風車8基を設置する浮体式洋上風力発電所の開発が進められている。商用規模最大級となる15MW級風車での浮体式実証と、浮体式洋上風力発電所建設に加え、今回の都の表明により、日本においても大規模浮体式洋上風力導入に向けた道筋が見えてきたかたちだ。