2024年10月18日無料公開記事洋上風力発電

国内洋上風力発展へ課題共有
都内で風力国際会議、商船三井やJMUが登壇

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パネルディスカッションのようす

 第6回日本国際風力発電大会(ジャパン・ウインド・エナジー2024、主催=リーダー・アソシエーツ)が15〜17日に都内で開催された。複数の講演やパネルディスカッションが開催され、アジアの着床式・浮体式洋上風力に関する展望や課題を共有した。日本の洋上風力市場については公募のスピードやプロジェクト規模の不足の観点から海外からの投資を呼び込むための魅力に欠けるとの意見が挙がった。国内洋上風力市場の可能性をテーマとしたパネルディスカッションには海運会社から商船三井の森口岳泰風力・オフショア事業群風力事業ユニット長が、造船会社からはジャパンマリン・ユナイテッドの大川原和宏海洋・新エネルギー営業部長らが登壇した。
 国内洋上風力市場の可能性に関するパネルディスカッションでは、国内のプロジェクトにおけるEPCI(設計・資材調達・建造・据付)の課題や、海外プロジェクトで獲得した知見を共有した。JMUの大川原部長は浮体式洋上風力の施工におけるサプライチェーンの課題について、作業船や基地港湾、浮体の保管場所、係留設備の不足を挙げ、「アンカーハンドラー(AHTS)の不足は目に見えている。また、SEP船はすでに何隻かあるが工事がピークになれば不足するだろう」と指摘した。
 森口ユニット長は合弁会社を通じて台湾で展開しているサービス・オペレーション・ベッセル(SOV)事業について紹介した。日本国内での作業員輸送については、離岸距離の観点からクルー・トランスファー・ベッセル(CTV)が有力視されているが、「さまざまな観点から前提が変わる可能性があると考える。浮体式の案件ではCTVでは輸送需要を賄うことができない。また、台湾でも目の当たりにしたことだが、建設期間の最終段階では納期のプレッシャーから短期間であってもSOVを使用して計画に間に合わせたいという需要がある。国内の着床式の案件でもSOVの需要は思ったよりも非常に高くあるのではとみている」(森口ユニット長)。
 また、日本風力開発の望月孝氏は事業者の観点から欧州との違いについて、日本は風車1基あたりの面積が狭い点、陸上に近い点、地盤が複雑である点を挙げ、風車のレイアウトは事業性を左右する非常に重要な要素となると指摘した。
 同イベントではこのほか、浮体式洋上風力や洋上風力プロジェクトへの投資、サプライチェーンに関するパネルディスカッションや講演が行われた。

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