2024年5月28日無料公開記事洋上風力発電
バルカーなど7隻に風力推進装置
商船三井、搭載船はグループで計11隻に
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商船三井は27日、グループの商船三井ドライバルクが運航する新造バルカー6隻、新造多目的船1隻の計7隻に風力推進補助装置の搭載を決めたと発表した。バルカー6隻にはウインドチャレンジャー(硬翼帆式風力推進装置)を、多目的船1隻にはオランダのエコノウインド社のサクションウイング式風力推進装置「VentoFoil(ヴェントフォイル)」を搭載する。これにより、商船三井グループにおける風力推進装置搭載船はバルカー10隻、多目的船1隻の計11隻に拡大する。
今回搭載を決めたバルカーは4万2000重量トン型ハンディサイズ・バルカー3隻と5万8000重量トン型ハンディマックス3隻。ウインドチャレンジャーを各1基搭載する予定で、うち3隻については4月に大島造船所と建造契約を締結しており、2026年下期から27年上期にかけての竣工を予定している。
この3隻にはウインドチャレンジャーに加え、英国のアネモイ・マリン・テクノロジーズ製ローターセイル(円筒帆)を複数本併用して搭載することも検討している。燃費節減・GHG(温室効果ガス)削減効果はウインドチャレンジャー1基で年平均約7~16%、ローターセイル3本併用時で年平均約15~28%を見込んでいる。残りのバルカー3隻についても建造契約締結に向けて準備を進めており、2027~28年の竣工を予定している。
また搭載を決めた多目的船1隻は1万7500重量トン型で、今年10月に新造用船契約を締結、25年1月の竣工を予定している。風力推進装置はヴェントフォイルを2本搭載する予定で、燃費節減・GHG削減効果は年平均で約2%を見込んでいる。
商船三井では、2022年10月にウインドチャレンジャー搭載第1船として10万442重量トン型石炭船“松風丸”が竣工している。以降、東北電力向けの専用船として約18カ月間、主に豪州・インドネシア・北米などから日本向けの実航海で往復7航海の性能検証を実施。1日当たり最大17%、1航海平均5〜8%の燃料節減効果があったことを確認している。
ウインドチャレンジャー搭載船としてはこのほか、商船三井ドライバルクの新造6万4000重量トン型ハンディマックスでの搭載を予定しており、今年6月大島造船所での竣工を予定。また商船三井の電源開発向け一般炭輸送に従事している既存の8万9999重量トン型石炭輸送船“Kurotakisan Maru Ⅲ(黒滝山丸Ⅲ)”に対しても、2025年後半にウインドチャレンジャーの搭載工事を行う予定となっている。
ウインドチャレンジャー以外では昨年、商船三井がブラジルの資源メジャーヴァーレと、既存の20万重量トン型鉄鉱石輸送船1隻にフィンランドのノースパワー製ローターセイルを搭載する工事を行うことで合意。今年中の改造完了を予定している。
商船三井はグループの「環境ビジョン2.2」の中で2050年までのネットゼロ・エミッション達成を目標に掲げている。その達成に向けた主要アクションの1つに「さらなる省エネ技術の導入」を含めており、ウインドチャレンジャー搭載船を30年までに25隻、35年までに80隻投入することを計画している。