2023年12月1日無料公開記事洋上風力発電

浮体式で国内企業の協調体制構築
GI基金、浮体システム規格化・大量生産へ

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 資源エネルギー庁はグリーンイノベーション基金事業の「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトのフェーズ1のテーマを拡充・追加する考えを明らかにした。新たに「浮体式洋上風力における共通基盤開発」を追加するほか、「次世代風車技術開発事業」の拡充を行う方針だ。共通基盤開発では、浮体システムの規格化や浮体の大量生産、EEZへの展開を見据えた大水深などへの課題に対応すべく、国内企業を中心とした協調体制を構築する考え。11月29日に行われた第8回グリーンイノベーションプロジェクト部会グリーン電力の普及促進等分野ワーキンググループで案を示した。
 浮体式について、日本がグローバルな議論をリードしていくことが重要だとして、浮体式洋上風力発電のコストを局限化する協調領域について国内企業を中心とする協調体制を構築し、先行する海外とも連携した国際標準なども見据えた技術開発などを実施する。具体的には、浮体システムの最適な設計基準・規格化などの開発、浮体システムの大量/高速生産などの技術開発、大水深における係留・アンカー施工などの技術開発などを行う考えだ。
 協調体制では浮体メーカーや発電事業者の参画を予定している。洋上風力に関する基本合意書(LOI)を締結したデンマークなどとも連携しつつ、グローバル市場も意識した国際基準などの実現に向けた技術開発を行う。
 同テーマの詳細については次回の審議会で予算額を含めさらに議論を進めるとしている。
 また、国内のみならず海外展開も見据えたグローバルサプライチェーンの一角を担うことを目指し、日本の強みを生かしたさらなる低コスト化や技術開発を進めていく必要があるとして、2021年の公募当時に顕在化していなかった技術課題への対応やサプライチェーンの強靭化に資する技術開発の取組を加速する。技術課題については保磁力向上によるレアメタル削減技術やブレードの長寿命化を実現する次世代炭素繊維開発などを挙げた。予算額は上限150億円から180億円に拡充する予定だ。
 なお、公募テーマの1つである「洋上風力運転保守高度化事業」の予算上限額は次世代風車技術開発の拡充分を減額し、40億円とする。現時点で採択済みの約20億円を除いた約20億円を活用し、沖合でのメンテナンス作業のさらなる効率化に資する技術開発にかかる追加公募を実施する。

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