2023年10月4日無料公開記事洋上風力発電
SEP船買船・15MW超対応へ改造
戸田建設ら6社、洋上風力で新会社設立
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戸田建設、熊谷組、西松建設、若築建設、岩田地崎建設、吉田組の6社は、中古の非自航式SEP船を買船し、15MW級超の大型風車の設置に対応するため改造する。今回、シンガポールのテラス・サンライズ社とSEP船の調達契約を締結した。中古船の改造により安価にSEP船を貸船できるとしている。改造は2025年3月に完了し、同年9月から供用開始予定。また、6社は昨年3月に洋上風力施工船舶の保有などを目的とした会社「ジャッキアップ・ウィンド・ファーム・コンストラクション(JWFC社)」を設立した。
戸田建設ら6社が3日に記者会見を行った。戸田建設の大谷清介社長は会見で、「JWFC社として強いパートナーシップを築き、シナジー効果を発揮し、再生可能エネルギー事業、脱炭素化への取り組みを通して、社会に貢献していきたい」と述べた。
低コスト化と迅速な調達の観点から新造船の発注ではなく中古船の買船・改造を決めた。また、当初は石油掘削リグを安価な洋上施工プラットフォームに改造するべく検討していたが、ウクライナ問題により石油掘削リグの需要が高まり調達が困難になったため、SEP船の改造に切り替えたという。
調達したSEP船はASLシップヤード(現パックス・オーシャン)が2014年に建造したもので、現時点での搭載クレーンは750トン吊り。現在、引き渡しに向け補修工事を実施しており、1300トン吊りクレーン搭載の改造に向け準備している。改造は上海で行う。また、同船のレグの長さは130mで、水深約60mまでの大水深域への対応が可能。DPSスラスター6基を搭載している。
改造後の施工能力については「1海域で年間20〜30基を建設できる。今後の大規模ウィンドファームが約100基の規模だとすると約3年を費やして施工に従事するかたちになると考えている」(戸田建設の浅野均専務執行役員)。
このほど設立したJWFC社は船舶・建設設備などの保有・運用リースに関する事業を行う。今後について、状況次第で洋上風力発電施設などの施工に関する事業、海上輸送に関する事業、洋上風力発電施設などの維持管理・メンテナンスに関する事業などを視野に入れる。出資比率は戸田建設、熊谷組、西松建設が各28.5%、若築建設が9.0%、岩田地崎建設が4.5%、吉田組が1.0%となっている。
新会社の船隊拡大については、「まずは2025年9月にSEP船が稼働開始して同船で順調に施工ができるのかなど検証し、軌道に乗せてから考えていきたい。ただし2隻目を検討するにしても今回のようなSEP船はなかなか手に入らないと考えられるので、他の手だてで考えていくことになるだろう」(浅野専務)。