2024年4月17日無料公開記事洋上風力発電
1航海でモノパイル3本程度輸送
JFEエンジニアリング、商船三井のモジュール船で
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モジュール船によるモノパイル輸送のイメージ
既報(4月16日付本紙)のとおり、JFEエンジニアリング(福田一美社長)は商船三井ドライバルク(平田浩一社長)と新造モジュール船(フラットデッキ型特殊重量物運搬船)による洋上風力発電基礎構造物の内航輸送契約を締結したが、積荷がモノパイル(洋上風力発電設備の着床式基礎)の場合は1航海で3本程度を輸送する計画だ。同契約で輸送するモノパイルは最大のもので1本あたりの長さが約100m、重さが2000トン以上になる。国内初のモノパイル製造拠点と共にその海上輸送方法も注目されている。
JFEエンジニアリングと商船三井ドライバルクは3月27日にモノパイルやトランジションピース(モノパイルと風車の接続部)の輸送に関する海上運送契約を締結した。この契約は、4月1日に稼働を開始したJFEエンジニアリングの笠岡モノパイル製作所(岡山県笠岡市、JFEスチール西日本製鉄所福山地区内)と、トランジションピースを製造する同社の津製作所(三重県津市)から国内の洋上風力発電所建設予定地に海上輸送を行うためのもの。商船三井が中国の泰州三福重工集団に発注し、商船三井ドライバルクが管理する新造モジュール船を用いて2026年度から輸送を開始する予定。一般貨物と同様に洋上風力発電部材の内航輸送もカボタージュ規制の対象になるため、新造船は日本籍船とする。
JFEエンジニアリングは今回の輸送契約を締結した理由を「さまざまな輸送方法を検討した結果、この方法が最適と判断した」としたうえで、「モノパイル/トランジションピースを国内洋上風力発電所建設予定地へ必要本数を適時に供給するためには、輸送スピードと厳しい海象条件への適応力が求められる。それらの条件を満足する商船三井ドライバルクのモジュール船を専有活用することで、当社が製造する国産モノパイル/トランジションピースを効率的に目的地へお届けすることが可能となる」と説明した。
JFEエンジニアリングのモノパイル/トランジションピースの納入先は未定だが、仮に国内洋上風力発電「ラウンド1」の事業で採用された場合は輸送先は秋田県沖、千葉県沖になる。
モノパイルはタワー(風車と基礎構造物の間にある支柱)と風車を海中で支える巨大な構造物。笠岡製作所では最大で直径12m程度、長さ約100m、重量約2500トン/基の製造が可能で、年間生産能力は10万トン程度(モノパイル/トランジションピース約50セット)になる。
JFEエンジニアリングは長年の大型鋼構造物製造で培ってきた加工・溶接技術をベースとして、欧州で数多くのモノパイル製造実績がある最新鋭設備を導入した。JFEスチールから供給される大単重厚板を活用するとともに、同社と共同開発した高能率・高品質で世界最先端の溶接技術を融合。「世界最新鋭の工場で製造する世界最高水準のモノパイルを安定供給することで、 急拡大する日本の洋上風力発電事業発展に大きく貢献していく」としている。
笠岡モノパイル製作所
モノパイルの概要(JFEエンジニアリングのプレスリリースより)