2024年10月3日無料公開記事洋上風力発電
VR型CTV操船シミュレーター導入
東京汽船、可動式台座で臨場感ある訓練可能に
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WIND EXPOで操船シミュレーターを紹介
東京汽船(本社=横浜市)はこのほど、CTV(洋上風力発電交通船)の船長を訓練するための操船シミュレーターを導入した。最新鋭のVR(仮想現実)型3D技術を使用しているほか、モーションプラットフォーム付きの台座によって船体の動揺を忠実に再現し、現実に近い状態での操船訓練を可能にする。齊藤宏之社長は「圧倒的な臨場感のあるこのシミュレーターを用いて、CTVの船長を目指す人の操船訓練を行っていく」と語る。
CTV操船シミュレーターに着席し、VRゴーグルを装着するとCTVの操船席にいるかのような光景が目の前に浮かび上がる。景色だけではない。波の高さや気象状況を設定し、可動式の台座と連動させることで、さまざまな気象海象下での船の動きを再現できる。
ほとんどがアルミ製のCTVは波の動きが船体動揺に及ぼす影響が大きい。船体が大きく揺れ動く中であっても、CTVを風車の支柱であるトランジションピース(TP)に押し当てて安定させ、風車の保守作業員を、船とTPの間を安全に移動できるようにすることが非常に重要になる。CTVの乗組員にこの技術を習得させるため、東京汽船は自社訓練に今年5月に導入した最新鋭の同操船シミュレーターを用いる。
同社はこの操船シミュレーターを用いてトレーニングを提供しているポーランド企業のCNK社と提携しており、使用感をフィードバックすることで、シミュレーターのさらなる開発に寄与し、訓練方法の発展でも協働していく考えだ。
自社のCTV乗組員だけでなく、将来的には一般の海技者や学生にもシミュレーターなどによる訓練を提供することを目指す。
東京汽船は大型船舶型(国内総トン20トン以上)と小型船舶型(同20トン未満)のCTVを運航、船舶管理している。今年4月に新造の小型船舶型CTVとして“PORTCATひびき”が加わったほか、来年春から夏には大型船舶型CTV3隻を新たに投入する予定だ。これにより、同社が運航・管理するCTVは計10隻になる。