新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は24日、グリーンイノベーション基金事業「浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業」の一環で、日本海事協会(NK)の監修のもと、「浮体式洋上風力発電設備建設のための浮体曳航および係留施工ガイドライン」がNKより発行されたと発表した。ケイライン・ウインド・サービス(KWS)が、浮体式洋上風力発電設備の風車浮体設置に関する低コスト施工技術の研究開発を実施し、その成果の一部を取りまとめたもので、浮体式洋上風力発電設備の安全かつ効率的な係留施工を目的としている。
KWSはGI基金事業「洋上浮力発電の低コスト化」プロジェクトの一環として、ジャパン マリンユナイテッド、日本シップヤード、東亜建設工業とともに、研究開発事業「セミサブ型浮体・ハイブリッド係留システムに係る技術開発および施工技術開発」の中で、日本の環境に適した洋上風車浮体基礎の開発や、専用船を用いた洋上風車浮体設置に関する施工技術の開発など、浮体式洋上風力発電設備の製造および施工の低コスト化に向けた技術開発に取り組んできた。KWSは同事業の中で、浮体式洋上風力発電設備の風車浮体設置、係留施工技術の研究開発に取り組んだ。同設備は係留による洋上設置が一般的だが、係留施工は洋上という不安定な環境下において高重量かつ高張力を取り扱う作業が求められるため、綿密な作業計画の策定、情報共有の徹底および適切な資格と能力を有する作業者の配置が必要になる。同事業では、浮体構造物の係留施工実績が先行している海外の油ガス田事業の施工技術を参考に、同設備に適した係留施工手順の検証を行った。
ガイドラインでは、同事業で検証した係留施工手順などをもとに、浮体式洋上風力発電設備建設時の浮体曳航、係留施工を安全かつ効率的に計画、遂行するための基準が、標準的な指針として取りまとめられている。業界標準としてより広く普及させる観点から、NKが監修し、発行した。
ガイドラインは標準的な係留施工という観点での要件が整理されており、「第1章一般」「第2章役割と責任」「第3章リスクマネジメント」「第4章人員配置」「第5章作業の準備」「第6章作業遂行」「第7章気象予報」で構成されている。
ガイドラインはNKウェブサイト(
www.classnk.or.jp)でマイページのユーザー登録をすることにより、マイページの「ガイドライン」で見ることができる。