2024年9月12日無料公開記事洋上風力発電
浮体式洋上風力の次世代技術開発へ
NEDO、計5件を採択
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新エネルギー・総合技術開発機構は11日、「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」の公募結果を発表した。13件の提案の中から5件が採択された。アルバトロス・テクノロジーと川崎汽船、住友重機械マリンエンジニアリングら5社のコンソーシアムや、東京電力ホールディングスらのコンソーシアム、大林組などが実施予定先に選ばれた。
同事業は浮体式洋上風力の国際競争力のあるコストでの商用化に向けた中長期的な技術開発を進めるため、日本の周辺海域の気象・海象条件、水深、社会受容性などの観点を踏まえた技術課題などを抽出・整理・検証することを目的としている。事業期間は2024年度〜25年度。
アルバトロス・テクノロジーは川崎汽船、住友重機械マリンエンジニアリング、電源開発(Jパワー)、東京電力ホールディングスとともに「大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証」を提案し、採択された。今回の実現性検証では、風車と浮体が一緒に回転する垂直軸型(浮遊軸型)風車の大型商用機の実現可能性を検証し、基本設計承認取得に向けた設計を行う。
大林組は「TLP(テンション・レグ・プラットフォーム)型ハイブリッド浮体式洋上風車支持構造物の開発」について採択された。同社は着床式と浮体式のあらゆる基礎構造形式を対象に、洋上風力全般の技術開発に取り組んでおり、TLP型浮体においては今年7月から実海域での実証実験を開始している。今回NEDOに採択された開発テーマを通じてTLP型浮体の大量生産と低コスト化を可能とする技術を開発、その後風車を搭載した実証実験に取り組み、2030年以降のTLP型浮体式洋上風力発電の社会実装に備えるとしている。
東京電力ホールディングスは北海道電力、大成建設とともに「フルコンクリート製コンパクトセミサブ型浮体および大水深係留の技術開発」を共同提案し、採択された。低コストかつ国内サプライチェーンの強靭化に資する次世代技術開発として、フルコンクリート製コンパクトセミサブ型浮体と深い水深に適用可能なトート係留方式を共同で開発する。また、将来的な実海域での技術開発実証を視野に、地域受容性に関する調査も行う。
このほか、熊谷組と佐賀大学、横浜国立大学、長大のコンソーシアムと、戸田建設が実施予定先に選ばれた。