2024年9月3日無料公開記事洋上風力発電
洋上風力向けTLP型浮体実証開始
大林組、青森県沖に設置
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TLP型浮体と構成イメージ
大林組は先月27日、青森県沖に洋上風力発電用のTLP(テンション・レグ・プラットフォーム)型浮体を設置し、挙動観測を開始したと発表した。挙動観測は今年7月から開始し、来年7月までの1年間にわたって行う。浮体は15MW級風車用浮体の5分の1サイズで、風車を搭載していないもの。同社は今後、風車を搭載した浮体による実海域実証実験も視野に入れており、商用化に向けた開発を推進していく方針だ。
今回の実証における浮体と係留システムは日本海事協会(NK)の船級検査を完了し、船級を取得している。浮体政策の低コスト化、大量生産を図るため、浮体は鉄筋コンクリートと鋼製部材によるハイブリッド構造を採用。緊張係留材であるテンドンには低クリープ高強度合成繊維ロープを採用し、TLP型浮体との適用性を検証している。
浮体は大林組独自の設置方法を用いて、青森県下北郡東通村岩屋の沖合3kmの海域に設置した。同社は大型の専用船などを使用せずに浮体の安定を保ちながら設置する方法を確立しており、現在特許を出願中だ。
今後、1年間の挙動観測を通して、実波浪下での動揺安定性の確認や、コンクリート浮体の水密性の検証を行い、TLP型浮体の耐用性を確認していく方針だ。
大林組では、着床式と浮体式のあらゆる基礎構造形式を対象に、洋上風力全般の技術開発に取り組んでいる。なかでもTLP型浮体を将来有力なものとして、開発に取り組んでおり、2018年にはNKから基本設計承認を取得するなど、技術成熟度を高めてきた。