2024年8月22日無料公開記事洋上風力発電

北海道のGX、DXに幅広く関与
日本郵船、北海道支店開所をお披露目

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パーティーには180人超が参加し盛況となった

 日本郵船は20日、札幌グランドホテルで北海道支店の開所記念パーティーを開催した。北海道支店は同社として15年ぶりの道内拠点として4月に開設。7月には新オフィスに移転し本格始動した。パーティーに先立ち報道陣の取材に応じた曽我貴也社長は、北海道での展開を目指す取り組みとして、洋上風力発電関連事業やアンモニア、水素などの新エネルギーの輸送、データセンター設置に向けた関連事業などを挙げ、「これからさまざまな分野が北海道で動いていく。船会社、物流会社としての役割を整理しながらそれぞれに取り組んでいきたい。その拠点が北海道支店になる」と支店の位置づけを説明した。

 日本郵船と北海道は今年1月、北海道の活性化に向けて相互に連携・協力しながら協働事業に取り組むことを目的に包括連携協定を締結した。北海道は新エネルギーに関する高いポテンシャルを持つうえ、両者はともに脱炭素に向けて取り組みを進めていることから、協定締結につながった。これをきっかけに4月1日に、日本郵船として15年ぶりの道内拠点として北海道支店を開設。同支店は国内6拠点目の支店となる。
 北海道支店の開所記念パーティーに先立ち、同社の曽我社長、森本政博北海道支店長が取材に応じた。
 北海道では、今年1月に石狩湾新港沖で洋上風力発電所が商業運転を開始するなど洋上風力分野の取り組みが前進している。日本郵船は中期経営計画で新規事業分野の1つとして洋上風力発電にかかわる事業に注力しており、石狩湾新港では同社グループが保有・船舶管理する作業員輸送船(CTV)“RERA AS”(レラアシ)の運航を昨年開始。曽我社長は「非常に質の高いサービスと評価いただいている。われわれはこの船で経験、知見を積もうとしているが、今のところ極めて上手くいっているのではないか」と評価。また、松前沖が今秋に促進区域に指定される見通しを受け、「これからの話だが、CTVの検討を含め実際の作業計画に入り込みながら、われわれができるサービスを作り上げていきたい」とした。洋上風力関連事業ではCTVのほか、SEP船やケーブル敷設船も取り組み分野となる。
 また、そのほかの新エネルギーへの取り組みとして、アンモニアや水素、二酸化炭素(CO2)、バイオガスを挙げ、「これらを海上、陸上で輸送する取り組みが今後、展開できる部分」(曽我社長)。
 これら北海道のGX(グリーントランスフォーメーション)に向けた取り組み方として曽我社長は「船や物流とは関係のない上流部分の事業においても、全体を発展させるために当社の役割としてふさわしいと思えるものがあれば躊躇なく行っていきたい」とした。
 新エネルギーの海上輸送に向けては人材育成にも取り組んでいく方針。「新エネルギーの輸送にはこれまでと異なる技術が必要。技術の開発や知見の蓄積を進めると同時に、そういった技術を司れる人材の育成にも関わっていく」(曽我社長)。日本郵船は地元での人材確保・育成に向けた取り組みの先行事例として、今年4月に秋田県に洋上風力など海洋人材の訓練施設「風と海の学校 あきた」を開設している。曽我社長は「風と海の学校をどう展開し、成長させていくかを見ていきながら、北海道に合う似た形のものをつくるのか、あるいはまったく異なるものなのかを見極めたい」とした。森本支店長も「当社の知見や経験を生かし、パートナーと相談しながら、どう役に立てるのかをグループの中で考えていきたい」と述べた。
 また、道内への誘致が進むデータセンターの設置向けた海底ケーブル敷設船事業や、道内で進む半導体工場の建設により半導体関連の輸送も大きな取り組みとなる。「半導体輸送は非常にセンシティブで技術が求められる。技術力を高めながら安定的に輸送するサービスの開発にも取り組んでいきたい」(曽我社長)。日本郵船らが進める海底ケーブル敷設船などの技術開発プロジェクトについては、導入時期を未定としながら、「2030年までに必要だとは聞いている。検討を急がなければいけないと思っている」(曽我社長)とした。
 北海道支店は開設後、近海郵船北海道(近海郵船の100%子会社)の札幌支店内に籍を置き活動を開始。7月には新オフィスに移転し本格始動した。7月にスタッフを1人採用し、現在は支店長を含めた3人体制となった。新オフィスには北海道支店のほか、近海郵船北海道、郵船ロジスティクス、サンユウのグループ4者が集結している。「日本郵船の北海道支店という機能だけではなく、同じオフィスにグループ会社の支店も入居するオフィスとしたことで、横の連携を取りながら活動を行っていく拠点としてしっかり整備できたと評価している」(曽我社長)。
 今回、2009年に札幌支店を閉鎖して以来、15年ぶりの道内拠点開設となった。前回の支店運営との違いについては「当時は札幌支店の傘下に道内3カ所に出張所を置いており、各地に既存顧客がいて、その生産活動を行うための素材を海外から輸送する業務が中心。需要がある中で当社ができる最大のサービスを提供しながら支店運営をしてきた。対して今回は、新エネルギーなどの分野では自分たちでさまざまに働きかけて需要を作りだしていきながら、北海道のチームの一員として取り組んでいくことになる。当社のESG経営にも通じるが、既存のものを追いかけるのではなく、自分たちが一員として取り組んでいくというものに変わってきていると思う」(曽我社長)。

■パーティーには180人超が参加

 20日に開催された北海道支店の開所記念パーティーには、三橋剛北海道副知事、秋元克広札幌市長をはじめとする行政や道内企業など来賓127人のほか、日本郵船から曽我貴也社長や池田豊常務、渡辺浩庸常務、伴野拓司常務ら同社グループ関係者56人の計183人が出席した。
 冒頭あいさつに立った日本郵船の曽我社長は同社と北海道の150年近い歴史を紹介した上で、「かつての北海道開拓は、北海道と内地の物流の活発化を見込んで、北の大地に夢と期待を持って人が集まってきた時代だったと思う。それを考えると、現在の北海道の状況は当時と似ている気がしている。農水産物や観光資源など既存の資源もあるが、北の大地ならではの新たな産業資源がまさに生まれつつある。北海道が進めるDX政策やGX政策は、この地の優位性を引き出して使っていこうということ。データセンターの設置や新エネルギーの開発などDX、GXの取り組みが1つ1つ花開いていくことによって、北海道は飛躍的な発展をするであろうことは私個人的にも確信している」と語った。
 続いて、来賓を代表して三橋北海道副知事が「日本郵船の旧小樽支店は国の重要文化財に指定されるなど物流分野だけでなく、各分野で北海道の発展と日本郵船には深い縁があると考えている。北海道の持続的な活性化に向けてともに取り組んでいけることを心強く思っている」とあいさつ。
 秋元札幌市長は「北海道はかつてはエネルギーの供給基地だったが、現在は再生可能エネルギーの宝庫。北海道、札幌でGX産業の集積を進めていきたい。また、日本の将来に向け新たな時代を開いていくことにおいても北海道は貢献できる位置にあると思っている。皆さんと一緒に取り組んでいきたい」と乾杯の音頭を取った。
 北海道支店の概要は次のとおり。
▼住所=〒060-0001 北海道札幌市中央区北1条西6丁目1-2 アーバンネット札幌ビル8階
▼代表者=森本政博北海道支店長

曽我社長

森本支店長

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