2024年8月6日無料公開記事洋上風力発電

セミサブ型の量産化と水上接合工法開発
日立造船、GI基金の浮体基礎技術開発で

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 日立造船は5日、セミサブ型浮体式基礎の量産化コンセプトと水上接合工法を開発したと発表した。同社は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)により2021年に公募されたグリーンイノベーション(GI)基金事業「洋上風力発電の低コスト化」の「浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業」に鹿島建設とのコンソーシアムで採択されていた。今回の開発はその成果となる。
 同コンソーシアムでは、セミサブ型浮体式基礎の量産化の実現を目指し、浮体式基礎の分割ブロックを造船・鉄構メーカーなどのサプライチェーン先で製造し、日立造船の堺工場へ曳航輸送後、ブロックを接合して浮体式基礎を大組立するというコンセプトのもと、新たに水上接合工法を開発した。堺工場の検証では、同コンセプトと水上接合工法を採用することにより、これまで年間4基程度だった1工場あたりの製造能力を、年間20基程度に飛躍的に増加させることが可能となるという結果が得られた。
 水上接合工法では造船ドックなどに水を張った状態で分割ブロックを受け入れ、水上で仮接合を行い、排水後、溶接を行う。当初はブロック入渠後、排水を行い、大型台車やクレーンを用いて接合のための位置調整を行うことを検討していたが、位置決めにはミリ単位の精度が求められるため、その重量や大きさから多くの時間を要することが課題だった。水上接合工法では、浮力の活用により重量による問題を軽減し、短時間でブロック同士の相対的な位置決めを行い、排水後直ちに溶接可能となることから、1割以上の大組立工程の短縮を実現できる。
 同社は同GI基金事業で15MW級の風車を搭載することを想定した浮体式基礎の分割ブロックの接合部を実寸サイズで製造し、2024年1月末〜2月末まで堺工場でブロック接合の試験を行った。同工法は工場での浮体式基礎の量産化に寄与するだけでなく、建設地付近の港湾設備などでの現地組立が必要な場合でも有効と考えているとした。
 日立造船はGI基金の「洋上風力発電の低コスト化プロジェクト」で「愛知県沖浮体式洋上風力実証事業」の実施コンソーシアムの1社として参画している。同事業では、今回のコンセプトと水上接合工法を採用してセミサブ型浮体式基礎を堺工場で製造する予定だ。

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