2024年3月1日無料公開記事洋上風力発電
日韓台で協力、アジア地域で発展を
風力発電展2日目、国内洋上風力の今後を議論
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東京ビッグサイトで開催中のWIND EXPO[春]〜第13回[国際]風力発電展では2月29日、パネルディスカッションが行われ、日本洋上風力市場の価値と期待についてパネリストらが各自の見解を示した。今後の洋上風力市場の発展に向けては、日本と韓国、台湾が協力をしてアジア地域で洋上風力産業を発展すべきとの意見が挙がった。
日本政策投資銀行の原田文代常務執行役員がモデレーターを務めた。RWEリニューアブルズのイエンス・オーフェルト洋上風力発電開発アジア・太平洋地域総代表と清水建設エンジニアリング事業本部洋上風力プロジェクト推進室の白枝哲次室長、シーメンスガメサ・リニューアブルエナジーのオフショアAPACのニールス・スティーンバーグMD(マネージング・ディレクター)がパネリストとして登壇した。
日本市場に対する期待について、白枝室長はEPC業者としての立場から「台湾はじめ諸外国に比べ展開が遅れており、環境条件の観点からも非常に難しい市場だ。ただし、それだけに技術を確立していけば世界に通用するものになり、開発に取り組むやりがいがある市場だと考える」と述べた。スティーンバーグMDは「2030年までに日本の市場が台湾を追い越すことを期待している」と語った。また、洋上風力バリューチェーンを国内で完結するのは開発ボリュームの不足から難しいとしたうえで、「日本と韓国と台湾が協力すればボリュームの課題が克服できるし、価格も下げられるだろう」と意見した。オーフェルト代表は「日本は期待できる市場だと考えている。中央集権化されたシステムの中で私たちが立ち位置を確立するのは難しいが、日本国内のパートナーと協力して開発していきたい」と日本での展開について述べた。
政策やインフラ、サプライチェーンの課題に対して、オーフェルト代表は案件のボリューム不足を指摘し、「1GWを超えるようなスケールのプロジェクトをやっていきたい。日本で500MW単位の公募が行われている中、他国で1GW単位で公募が行われていれば当然力の入れ方は違う。他国と同じように競争力をつけてほしい」と述べた。
白枝室長はSEP船のさらなる建造について問われると、「すでに“BLUE WIND”で500億円の投資をしており、もう1隻となるとしっかり考えていかなければならない」と述べた。また、国内洋上風力におけるSEP船需要については、今後の建設需要の観点から「まだまだ足りないと考えている」と述べ、海外からの用船も考えていく必要があるとした。
浮体式洋上風力の展開について、スティーンバーグMDは「遅かれ早かれ浮体式は実用化に足る技術になっていくと思うが、私が恐れているのは時間がかかりすぎることだ。韓国はおそらく世界で最も大型の浮体を開発しており、浮体式に特化した公募制度も備えている」としたうえで、「韓国の方が早いかもしれないが、2030年までに最初の商用スケールの浮体式ができることを期待している」と述べた。