2024年2月21日無料公開記事洋上風力発電
CTVを小鯖船舶工業で新造
日本郵船、造船業界の活性化に貢献も
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本船のイメージ
日本郵船はこのほど洋上風力発電向けCTV(作業員輸送船)1隻を小鯖船舶工業(岩手県釜石市)に新造発注した。20日発表した。同社がCTVを国内で新造するのは初めて。2025年後半から26年にかけて竣工した後、日本国内の洋上風力発電設備の建設と保守に関わる作業員輸送に従事する予定。CTV船隊を拡充することで持続可能なエネルギーの普及で役割を果たすとともに、日本の造船業や舶用工業の活性化、地域産業の発展と雇用創出への貢献を目指す。今後、国内造船所へのCTV発注を継続検討していく考えだ。
1月に発注した新造船で、日本郵船が保有するCTVとしては3隻目。日本国内での保有としては、昨年4月にシンガポールの造船所ペンギン・シップヤード・インターナショナルの子会社で建造され、北海道の石狩湾新港洋上風力発電所に従事する“RERA AS”(レラアシ)に次いで2隻目のCTVとなる。
洋上風力発電設備に長期間従事するCTVには、高速航行性能、安定性、快適な居住空間など高い移送能力を備えた船型が求められる。今回の新造船は2020年に日本郵船が提携したスウェーデンのノーザン・オフショア・グループの子会社で欧州の大手CTV運航船社のノーザン・オフショア・サービスが欧州域内で運航している船型を採用する。日本郵船はこの船型を同社の基幹船型とすることを目指し、国産化を実施する。
船型は、全長約28m、型幅約9m、約145総トン。乗客定員は12人。
日本国内では26年頃から洋上風力発電設備の建設が本格化すると見込まれる。これに伴い、CTVの需要が拡大する見通し。日本郵船は中期経営計画で26年度までに洋上風力バリューチェーンに430億円の投資を行う計画。今回の新造船の建造もその一環となる。
日本郵船の3隻のCTVのうち、1隻は22年建造でノーザン・オフショア・グループとの提携の一環で郵船が保有したうえでノーザン・オフショア・サービスに貸船している。
同社は洋上風力発電関連事業などのグリーンビジネスを通じた低・脱炭素に向けた新しい価値創造の取り組みを対象としたESGブランド「NYK GREEN EARTH」を展開している。今回の取り組みもその1つとして位置づけられる。