2024年1月19日無料公開記事内航NEXT 「2024年問題」船社のシナリオ

《連載》「2024年問題」船社のシナリオ⑨
需要増加に備え共同運航拡大
NXHD

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海上・陸上、外航・内航一貫輸送を手掛ける強みを生かす

 NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)傘下の日本通運は、2024年問題による需要増加を見越して、商船三井さんふらわあとの共同運航による内航RORO船サービスを今月から拡大する。東京/九州・瀬戸内はポテンシャルのある航路と見込み、総合物流企業として海上・陸上、外航・内航一貫輸送を手掛ける強みも生かして2024年問題に対するソリューションを提供する考え。
 日本通運の内航定期航路サービスは、RORO船3隻による東京/北海道が週5便、商船三井さんふらわあと共同のRORO船4隻の東京/九州・瀬戸内が週6便。その他の航路も利用運送事業者として顧客にサービスを提供している。
 同社では2024年問題を前に、引き合いやトライアル輸送が増加。メーカーからの工場間輸送などのトライアルの依頼が多いが、本格導入に至るケースはまだ少ないという。日本通運の安藤恒夫執行役員(国内定期船部・港湾運送部担当)は「2024年問題に対して皆さんは危機感を持たれているが、直ちに輸送モードを変更するというよりも、まずは試して様子を見るという段階」と説明する。
 海運へのモーダルシフトが進む鍵はコストよりもリードタイムだと見る。荷主の中ではトラック輸送によるスケジュール感覚が根強いため、現状ではリードタイムが延びる海運には移行しないが、2024年問題が深刻化すればリードタイムを含むサプライチェーン全体を見直す動きが活発になると予想する。安藤執行役員は輸送モードの見直しの本格化には数年かかるとし、「トラックドライバーの残業規制を大手、中堅、小規模事業者含む、全事業者が順守すると、トラックドライバーはひっ迫する。また、トラックドライバーの労働時間規制強化は、本来ドライバーの労働環境を改善して人財確保につなげるというもの。今後マーケット全体で、トラックのドライバー不足が進めばリードタイムの見直しにつながり、海運の競争力が出てくる」と読む。
 商船三井さんふらわあとはアライアンスの強化のみならず、高齢船のリプレースも検討している。安藤執行役員は「船型は商船三井さんふらわあと協議するが、大型化する可能性もある。課題は環境対応で、代替燃料について最適解を考えたい」と話す。
 また、同社独自のサービスである海上輸送と鉄道輸送を融合させた国内複合一貫輸送「Sea&Rail」も2024年問題解決の一助になると見ている。安藤執行役員は「港から仕向地が遠い場合も12フィートコンテナで一貫輸送できるのが強み。外航コンテナを内航RORO船で運ぶサービスも提供しており、現状では地方港への輸送は内航フィーダーコンテナ船か近隣国でのトランシップの2択だが、そこに内航RORO船という新しい選択肢を打ち出せた。スピードなどが評価されて中国船社2社からお声掛けいただいている。海コントレーラ輸送は、ドライバーの中でも拘束時間が長い。長距離フィーダー輸送を内航RORO船が担うことで2024年問題に対応したい」と語った。

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