2024年1月11日無料公開記事洋上風力発電

洋上風力VC展開を強化
商船三井、北拓との資本提携で

  • X
  • facebook
  • LINE
  • LinkedIn
 商船三井は北拓との資本提携により、洋上風力発電分野のバリューチェーン(VC)を通じた事業展開を強化する。杉山正幸執行役員は洋上風力の取り組みについて、「当社が専門の事業部を作ってから3年が経つところ。洋上風力の発展を期してさまざまな事業に取り組んでいる。北拓との資本提携はわれわれにとって非常に大きなマイルストーンになる」と語る。
 商船三井は海を起点とした社会インフラ企業として新たな成長を目指し、事業領域の拡張を進めている。洋上風力発電はその中で積極的な事業展開を進めてきた分野だ。昨年4月にスタートしたグループ経営計画「BLUE ACTION 2035」の3つの主要戦略の一つであり、同時にサステナビリティ課題の一つとして取り組んでいるのが「環境」。その中で再生可能エネルギー分野の洋上風力発電は「1丁目1番地」の取り組みとなる。
 洋上風力の取り組みは、経営計画の主要戦略として環境戦略と並ぶポートフォリオ戦略にも適うものだ。脱炭素事業への経営資源の再配分を進め、持続可能な事業の新たなビジネスモデルを創出する。
 商船三井はグループを挙げた取り組みを通じて、洋上風力発電関連事業について2035年にグループで100億円以上の利益規模を目標に据えている。船や海の知見を基にバリューチェーンにわたってサービスのメニューを広げてきており、これまでに風車などの発電施設を洋上に建設するSEP船、風車のメンテナンスを支援する船舶であるCTVやSOV、さらには発電事業そのものにも参入した。洋上風力発電が先行する台湾、そして日本で実績を積み上げながら、建設前の立地環境調査、建設部品や資材の海上輸送、風力発電設備の運用やメンテナンス(O&M)に関わる作業員の派遣など、幅広い事業を展開していく。
 その中で、今回の北拓との資本業務提携を通じたO&M事業は柱の一つになる。国内の洋上風力は大規模事業の商用運用が開始されて間もない。「日本のプレーヤーはいわば手探りで仕事をしている状況。その中で外国の経験のある人たちの知見を得ながらサプライチェーンを作り上げて洋上風力を一本立ちさせていこうという思いを、政府のみならずこの産業に関わる皆さんが持っていると思う。早い段階で日本企業がしっかりと風車などをメンテナンスできるようになることは洋上風力産業を下支えするうえで重要。われわれはそのためのフロントランナーになっていきたい」(杉山氏)との考えだ。

関連記事

  • 海事プレスアプリ
  • 増刊号日本郵船