2023年11月24日無料公開記事洋上風力発電
2隻目のSOV発注、ダーメンに
商船三井、台湾の洋上風力向けで
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SOVのイメージ
商船三井と大統海運(タ・トン・マリン)は、合弁会社の大三商航運(タ・サン・シャン・マリン、TSSM社)を通じ、オランダのダーメン・グループと新造SOV(サービス・オペレーション・ベッセル)の造船契約を締結した。商船三井が22日に発表した。昨年竣工したアジア初のSOV“TSS PIONEER”に次ぐ、TSSM社2隻目の台湾籍SOVとなる。商船三井の杉山正幸執行役員(電力・風力エネルギー事業群第二ユニット<風力発電事業>担当)は、「“TSS PIONEER”に加え、今回の新造SOVの操業を通じて、TSSM社の台湾におけるSOVプレイヤーとしての地位を確固たるものにすることに加え、日本を含むアジア地域での商船三井のSOV事業展開の布石としたいと考えている」とコメントした。
造船契約は21日に締結した。新造船はメタノールレディな設計で、ダーメンがSOVの受注・建造実績を積み上げているベトナムで建造され、2025年末の竣工を予定している。竣工後は主として26年以降にEPC(設計・調達・建設)が計画されている台湾の洋上風力案件への投入を想定している。“TSS PIONEER”で培ったSOVの操業経験を活かし、発電事業者や風車メーカー、建設事業者などに対して洋上での快適な宿泊設備を提供するとともに、本船から洋上風力発電所へ人員や物資の安全な移送を行うことで、台湾の洋上風力事業の発展に寄与するとしている。
同船の全長は87.7m、全幅19.7m、計画喫水5.3m。最大乗船人員は約120人。DPS(自動船位保持装置)、波等による船体動揺を吸収するモーション・コンペイセイション機能をもつ特殊なギャングウェイ・クレーンを装備する。EPCへの投入を想定していることから、“TSS PIONEER”よりも定員数が増加しているほか、クレーンのキャパシティも大きいものとなっている。
TSSM社の林宏年董事長は「アジアで初の専用SOV“TSS PIONEER”での操業経験を踏まえ、われわれはグリーンエネルギー分野への貢献をさらに深めたいと考えている。今回の新造船においても、われわれが最重視する安全で快適な環境を風車技師・船員に提供し、台湾、さらにはアジア大洋州域での洋上風力事業の伸展に貢献していく」と語った。
また、ダーメン社のアルナウト・ダーメンCEOは「数あるSOVビルダーの中から今回、MOL・TSSM社に当社のSOVを採用いただき光栄だ。今後もMOL・TSSM社と協業できるのを楽しみに思う」と語った。
TSSM社は商船三井と大統海運がおおよそ半々出資して設立した合弁の船舶保有会社。昨年竣工した“TSS PIONEER”はオーステッドに定期貸船され、同社が開発する900MWの大彰化洋上風力発電所のメンテナンス支援に用いられている。