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2023年3月14日無料公開記事洋上風力発電

●再び動き出す日本の洋上風力
セントラル方式で案件形成を加速

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 日本の洋上風力発電が再び動き出した。昨年12月、経済産業省と国土交通省は秋田、新潟、長崎の計4区域を対象とする事業者の公募を開始した。21年12月に事業者が選定された第一弾公募(通称、第1ラウンド)から公募ルールが見直され、運転開始時期の配点増加と落札制限が導入された。また、政府は、政府・自治体が主導して初期段階の調査などを行う「日本版セントラル方式」の確立に動き出しているほか、排他的経済水域(EEZ)への洋上風力拡大に向けた制度的措置の検討も表明した。
 洋上風力の案件形成について「2030年までに10GW(ギガワット)、40年までに30〜45GW」という野心的な目標を設定した日本。案件の形成を加速するために進めているのが、セントラル方式の導入だ。洋上風力の現地調査では、複数の事業者が同一海域で類似した調査を実施し、非効率な状況となっていることに加え、調査に伴い地元漁業者に操業調整などの負担が生じていることが課題。これらを背景に経済産業省資源エネルギー庁は、セントラル方式の確立に向けて2023年度予算を要求し、昨年末に決定された予算案に「洋上風力発電の導入促進に向けた採算性分析のための基礎調査事業」が新規で36億円、盛り込まれた。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が風況や地質構造に関する調査を行い、調査データを発電事業者に提供することで、事業者の発電事業計画の策定を支援するものになる。この事業では毎年度3カ所程度の区域で調査を実施する予定だ。23年度は「北海道岩宇・南後志地区沖」「北海道島牧沖」「北海道檜山沖」の3区域が選定され、政府予算成立を前提に、調査を実施する。
 また、政府は2月に閣議決定した「GX実現に向けた基本方針」で、洋上風力分野ではEEZへの導入拡大に向けた検討のほか、浮体式洋上風力の導入目標を掲げ、その実現に向け技術開発・大規模実証を実施するとともに、風車や関連部品、浮体基礎など洋上風力関連産業で大規模で強靱なサプライチェーンの形成を進めることを盛り込んだ。
 政府の案件形成の目標達成に向け、事業環境の整備が急がれている。

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