2025年7月16日無料公開記事今治内航船主若手経営者座談会 内航NEXT

《連載》今治内航船主若手経営者座談会③
インフレでコスト保証契約にリスク

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座談会のようす

座談会出席者(社名五十音順、カッコ内は所属地区)
浅川汽船・宮政彰社長(今治)、朝日海運・三宅恭介代表取締役専務(波方)、えびす商会・野間裕人代表取締役(伯方)、如月汽船・坂邊幸信社長(伯方)、金力汽船・多田憲司社長(伯方)、錦城海運・田窪昭彦代表取締役(今治)、幸洋汽船・藤澤賢宏取締役(今治)、進宏海運・大木祐輔常務取締役(波方)、大東汽船・馬越康友取締役(伯方)、聖海運・﨑山傑取締役(波方)、明運汽船・赤瀬慎専務取締役(伯方)

<司会=海事プレス社:深澤義仁、伊代野輝/会場=波方船舶協同組合(今治市)>

― いずれの船種もコスト高が顕著だ。

「長期コスト保証型の契約は安定しているように見えるが、インフレなどで運航コストが上がっていくとカバーできなくなる。今オペレーターから『10年保証だ』と言われたら、船主は覚悟を持って船を造らなければならない。昨今の急激なインフレはオペレーターも荷主も予想できなかったことなので仕方がないと思う反面、保証が終わるタイミングで交渉しなければならないと考えている」

「用船保証期間中の値上げ交渉は難しいが、貨物船ではリーマン・ショック後などに期間中でも値下げされた過去がある。次の契約で値上げしてもらえても、元々の用船料の水準に戻っていないことも多々あった。リプレース時に用船料を保証期間中に下げない旨を保証書に明記して欲しいと頼んだが断られたために貨物船から撤退した船主もいる」

「船価も並々ならぬ勢いで上がっている。コロナ前の5000キロリットル型タンカーがまだ20億円で建造できたタイミングでリプレースを打診していたが、オペレーターの許可が下りず、その後リプレースの許可が下りた頃には30億円を超えていた」

「銀行から建造のために融資を受けるには用船保証書が必要なので、建造の決定権はオペレーターと荷主にある。船価が安い時に発注すれば利益が出やすいはずなのに、そういう時ほど許可してくれない。そして船価が低い時に建造するのはオペレーターの社船というのがずっと続いてきた」

「今は船価が高いが船不足なので、オペレーターや荷主が造ってくれと頼むようになった」

「タンカーは船価に見合った用船料を出してくれることが多いが、貨物船の場合は船価をカバーできない用船料を提示されるケースもある。安い用船料で引き受ける船主は、自分が乗船するなどして人件費を抑えている。無理なコストダウンをしてまでも仕事をもらう船主がいるから、業界全体が疲弊する」

「タンカーはオペレーターが集約されているが、貨物船は二次・三次を含めるとオペレーターが沢山いる。普通の商売はまず原価があってそこに利益を載せて価格が決まるが、内航はまず価格があってそこから色々なコストを引かれて最後に残った分をオーナーが受け取る仕組みになっている。これではいつまでも日の目を見ることができない」

「外航船の投資は船主の自己責任の部分が多い代わりに自由だが、内航は船主に決定権がない。内航から外航に行く船主は、自らリスクを取ってでも利益の出る投資をしたいと思っている」
(つづく)

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