2025年7月15日無料公開記事今治内航船主若手経営者座談会 内航NEXT

《連載》今治内航船主若手経営者座談会②
タンカー荷主から船腹維持要請

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座談会のようす

座談会出席者(社名五十音順、カッコ内は所属地区)
浅川汽船・宮政彰社長(今治)、朝日海運・三宅恭介代表取締役専務(波方)、えびす商会・野間裕人代表取締役(伯方)、如月汽船・坂邊幸信社長(伯方)、金力汽船・多田憲司社長(伯方)、錦城海運・田窪昭彦代表取締役(今治)、幸洋汽船・藤澤賢宏取締役(今治)、進宏海運・大木祐輔常務取締役(波方)、大東汽船・馬越康友取締役(伯方)、聖海運・﨑山傑取締役(波方)、明運汽船・赤瀬慎専務取締役(伯方)

<司会=海事プレス社:深澤義仁、伊代野輝/会場=波方船舶協同組合(今治市)>


― タンカーのマーケットの状況は。

「貨物量は横ばいだが、時間外労働時間規制の影響は貨物船以上に大きい。タンカーで輸送安全確保命令が出たこともあって航海数が1~2割ほど減り、一方で船舶の大型化と運航距離の長距離化が進んでいる」

「ある荷主からは2030年まで現状の船腹を維持して欲しいと言われている。貨物船と比べて荷主が限られており、オペレーターの集約も進んだため、荷主とオペレーター、船主のつながりが深く、船員不足などによってこのままで船腹を維持できないことが荷主までしっかり伝わっている。先日、荷主の物流部長と話したが、数年前と様変わりして先方から船腹確保・増強をお願いされた」

「2年ほど前から転送需要が増え、韓国などから輸入した石油を全国各地に運ぶための内航タンカーが必要になっている。船型の大型化は基地間転送の増加に応える取り組みだ。先ほど話に出たとおり、石油元売りはあと5年は現状の船腹が必要だと考えているため、船主への理解を示してくれるようになっており、ここ2~3年で用船料や運賃が上がってきた。しかし、増加分は船員の給与増や、STCW条約対応の講習費などに充てているため、船主の収入は増えていない。修繕費などのコストも上がっている」

― 貨物船のマーケットはどうか。

「鉄鋼原料船の荷動きは停滞気味かもしれない。 輸送の効率化を目的として、原料のほか半製品のスラブ輸送なども増えている。空荷で帰ることもしばしばある。また、船員の働き方改革でこれまでより航海数が2~3割ほど減少しており、船員の労務環境は向上しつつある。トランプ関税などによって鉄鋼業界も先行きが不透明で、まだ影響は出ていないものの今後に不安がある」

「ばら積み船の状況はここ数年変わっていないが、鋼材の荷動きが少ない時にばら積みに流れてきている。これは不況時によくあるパターンで、貨物が減って船が余っている印象だ」

「タンカーほどではないが、貨物船も運賃・用船料はゆるやかに上がっている。ただ、この春の交渉では鉄鋼船の船主から『用船料は思ったほど上がらなかった』という声を聞くことが多かった。荷主から原資をもらえてないのではないか」

「ばら積みの用船料は上がったので、鉄鋼船との差が縮まった」

「材木船も用船料の値上げを打診していたが、駄目だった。オペレーターは荷主と話し合ってくれたそうだが、現状維持。材木は輸入が多く、円安などで荷主のコストも上がっているのが要因だと思われる」
(つづく)

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