2024年6月26日無料公開記事洋上風力発電
洋上風力、発電事業者中心に技術開発進む
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洋上風力発電が先行する欧州ではJIP(ジョイント・インダストリー・プロジェクト)方式と呼ばれる発電事業者が主導する洋上風力発電設備の開発が進められてきた。JIP方式での技術開発の動きは米国やフィリピンでも広がりつつある。日本では今年3月に研究組合「浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)」が発足。同組合では欧州のJIP方式の取り組みをベースとしつつ、日本の強みを活かし、日本の気象海象などに適した浮体式洋上風力の技術開発を進めていく方針だ。
洋上風力発電をいかに低コストで社会実装していくかという課題に対して欧州ではJIP方式での技術開発が立ち上がった。英国を中心に技術開発支援から始まった欧州の洋上風力産業だが、社会実装に向けては発電事業者がその技術を採用する必要がある。JIP方式は、洋上風力発電のプレイヤーである発電事業者が、発電事業者自身が必要とする技術を、サプライチェーンを担う事業者と協力しながら作り上げることを目的とする技術開発の方式だ。
JIP方式での技術開発を進める機関として、欧州では2008年にオフショア・ウインド・アクセラレーター(OWA)が立ち上げられた。OWAでは発電事業者が集まり、洋上風力発電設備の低コストで安全な建設手法や、船でのアクセス方法など、個社では解決が難しい、事業者全体の共通課題の解決に向けて取り組みが進められた。欧州ではこのOWAが機能したことにより洋上風力市場の形成が加速し、着床式洋上風力が欧州で先行して拡大した。
2016年からは次世代の洋上風力となる浮体式に焦点を当てた「フローティング・ウインド・ジョイント・インダストリー・プロジェクト(JIP)」が発足し、日本からは九電みらいエナジーや東京電力リニューアブルパワーらが参画している。