2024年2月29日無料公開記事洋上風力発電
O&M向けの小型SEP船に関心
商船三井、風力発電展でプレゼン
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プレゼンのようす
商船三井はWIND EXPO[春]〜第13回[国際]風力発電展の出展社プレゼンテーションで、同社が取り組む洋上風力発電事業について紹介した。電力・風力エネルギー事業群第二ユニットの林龍太ユニット長は同社の取り組みを紹介する中で、SEP船について、「投資規模が大きく、マーケットリスクが大きい分野のため慎重に進めなければならないが、O&M(運用・保守)分野での活用を想定した小型SEP船を積極的に考えていきたい」と述べた。
商船三井グループが洋上風力事業に取り組む背景について、140年にわたり培ってきた海上輸送の知見を洋上風力に活かせることや、化石燃料の輸送需要が縮小していく中で新たな事業に参画することによる事業ポートフォリオの改革、海運事業の脱炭素化にも資することなどを挙げた。
事業展開として、調査事業や海陸一貫輸送、風車の組立・据付・設置、電力ケーブル敷設、基地港湾コンサルティング、メンテナンス技術者輸送、人材育成への取り組みなどを説明した。
洋上風力作業船については注力する船種として、重量物輸送船とCTV(クルー・トランスファー・ベッセル)、ケーブル敷設船を挙げた。重量物輸送船については、「今後国内で確実に需要が出てくる分野だ。大型構造物輸送に適したモジュール船の建造を検討している」。
SOV(サービス・オペレーション・ベッセル)事業では1隻をオーステッド向けに15年貸船し、台湾の洋上風力発電プロジェクト向けに投入している。昨年11月に発注した2隻目については台湾のSOV需要をにらんだ「投機発注で、これからマーケティングしていく」とした。
メンテナンス人材育成については、「フィリピンの船員学校を応用し、例えばGWOの訓練設備や、風車のエンジニアを育てられるような設備を作ることを検討している」。このほど資本提携した北拓とは、北九州でトランジションピースに特化した訓練設備の設置に取り組んでいる。
発電事業では、同社は台湾の洋上風力発電事業「フォルモサ1」に参画している。「洋上風力分野で実際に取り組むのは船の輸送に関わる周辺事業だが、発電事業者がどういったサービスを船会社に求めているかを理解するには発電事業の中に入っていかなければならないと考え、参画した。入ると入らないでは見える世界が全く異なる。入って本当に良かったと考えている」と述べた。
浮体式洋上風力については、「船会社として最も貢献できる分野」とした。昨年10月に発表したノルウェーのオドフェル・オーシャンウィンドへの参画は浮体式事業の一環であり、「同社はノルウェーで浮体式実証事業を手掛けている。当社としてはとにかく早く実際の洋上風力の実業に入って学び、日本の来るべき時代に備えたいと考え参画した。ここで得た知見を日本にもってきたい」と述べた。