2023年11月28日無料公開記事内航NEXT

RORO船で自動運航の実証実験
川崎汽船、日本財団のMEGURI2040で

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稼働状況を評価しているようす

 川崎汽船は27日、日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」で、RORO船で自動運航システムの海上実証実験を実施したと発表した。川崎近海汽船が運航する1万1413総トンのRORO船“第二ほくれん丸”の営業航路となる釧路/日立間往復約1600kmで実施し、営業運航の中で実証実験を成功させた。
 “第二ほくれん丸”に自動運航システムを搭載し、10月1日から全3航海にわたり実証実験を実施した。沿岸航行では自動運航システムによる認知・分析・判断が高い精度で実行されることを確認した。実験区間において通常の乗組員による運航体制を維持したまま自動運航システムを用いて航行した。避航が必要な場面では安全に相手船を避けることができる避航ルート提案・操舵制御が行われた。自動運航システムは、システムが正常動作する運航設計領域(ODD)として設定している海域で、システム稼働率平均約96%を成し遂げた。
 実証実験において川崎汽船は、MEGURI2040第2ステージで社会実装に向けて開発する船上システムである自動運航システムのレトロフィットによる実証試験の実施を主導し、試験航海では海技者としての知見を提供した。今後は実証実験で得られたデータをもとに、同社の強みである安全運航の知見をフィードバックさせ、自動運航システムをさらにブラッシュアップしていく。
 また、2025年に向け川崎汽船は、無人運航機能を実現するため、日本無線、YDKテクノロジーズ、川崎近海汽船とともに、引き続き無人運航技術の向上に資する包括的なシステム開発を進める。25年の実証実験に向け、これまでの研究開発の成果である船上システムの高度化に加え、自動船速制御システムの開発を進め、あらゆる船種に導入可能な高い汎用性を持つ自動運航システムの開発に取り組んでいく方針だ。また、陸上からの本船状況の常時監視、操船補佐を目的として陸上システムと船陸間通信システムの開発を進め、船陸連携技術開発と実証に取り組んでいく。

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