2023年3月31日無料公開記事内航NEXT

連携型省エネ船のコンセプト公表
国交省海事局、内航船バイオ燃料指針も

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 国土交通省海事局は30日、内航海運のCO2排出削減に向けた連携型省エネ船のコンセプトとバイオ燃料取り扱いガイドラインを公表した。
 連携型省エネ船のコンセプトでは、CO2削減率と費用対効果を勘案した搭載する機器・技術の組み合わせを提示した。対象船種は一般貨物船、タンカー、749総トン型セメント船、5000総トン型セメント船、RORO船、長距離フェリー、中小型旅客船。船種により約18〜25%以上のCO2削減率となる。この7種で内航海運のCO2排出量のうちの最大70%をカバーするという。
 一般貨物船のコンセプトでは、停泊時・荷役時には陸電・蓄電池の利用を、推進効率改善・抵抗低減には高効率エンジン、プロペラなどの活用を例示。また、運航効率改善のためにウェザールーティングを採用したり、離着桟時間の短縮に向けて高機能スラスタや電動化・自動化といった高効率甲板機器を搭載するなどの事例を示した。これらの取り組みによって一般貨物船では20%以上のCO2削減が可能になるという。
 国交省はこのコンセプトを活用することで、内航事業者、荷主、造船所との間で連携型省エネ船の効果・費用に関する意思疎通の促進を図る。資源エネルギー庁のエネ特予算などによる建造コスト上昇分の一部の補助、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)の金利優遇制度への組み込みによって連携型省エネ船の導入を促進する考え。
 バイオ燃料の取り扱いガイドラインの作成に当たっては、陸上・実船試験を行った。実船試験ではLSC重油にバイオ燃料(FAME)を10%混合(B10)と24%混合(B24)した燃料油で、バンカリングを含めた一連のオペレーションを実施し、特別な不具合は確認されなかったという。これを踏まえて準備・対応事項を整理した。
 留意すべきポイントとして、①動粘度に応じた粘度調節器や燃料清浄機による適切な設定②スラッジの発生を防ぐための長期保存時の配慮③バイオ燃料の種類によって発熱量の違いが出るため着火時期や最高出力の変化について機器メーカーに事前確認など注意が必要④ゴム製材料や金属材料への影響を考慮し、材質確認や長期間の配管残留時における通常燃料への入れ替えなどの対策を推奨—を挙げた。
 髙橋一郎海事局長は30日の専門紙記者懇談会で「連携型省エネ船は建造コストが上昇するが、毎年数隻は建造されるように普及しやすいプロトタイプとした。積み荷の容量にも影響を与えないよう配慮している。バイオ燃料取り扱いガイドラインは今後、別の燃料の調査や長期保存した場合の燃料の利用可能性の調査を行うなど、ガイドラインの必要な改訂を行っていく」とコメントした。

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