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2025年5月22日無料公開記事今治発新技術 内航NEXT

《今治発:新技術》
ウインチ高度化、遠隔投錨を実現
SKウインチら、内航船“りゅうと”に搭載

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 SKウインチと冨士汽船、海上技術安全研究所(海技研)は、このほど共同で、船舶の電動ウインチを改造してデジタル技術を活用した電動ブレーキなどを開発、199総トン型内航ケミカル船“りゅうと”に搭載した。投錨作業の遠隔操作などを実現し、安全性向上と船員負荷低減を図った。
 国土交通省のNX補助金を受けて、2024年度に係船作業と投錨作業の船員労務負荷低減に向けたウインチの高機能化の技術開発を実施。張力監視システムと遠隔投錨システムの技術開発を行った。
 高機能化にあたっては、全てのブレーキの構造を見直した。通常のブレーキは、ロッドを縮めてブレーキを締める構造だが、これを、ロッドが伸びてブレーキを締める「押締構造」に変更した。これにより、電動シリンダへの負荷低減を図った。これと併せて、全てのブレーキに新型の電動シリンダを装備。電動シリンダによるブレーキバンドの開閉を可能とし、遠隔投錨の実現や操作性能の向上を図った。
 電動ブレーキには、荷重などを測定するセンサー「ロードセル」を追加した。これによって係船ロープの張力を計測し、異常があれば感知して注意や警報を発するとともに、自動で張力を緩める機能の実現を目指した。
 また、船首部の操作スタンドには、電動シリンダ式に変更したチェーンドラムブレーキを操作するためのスイッチを追加。従来の手動ハンドルによる操作では高速で繰り出されるアンカーチェーンの側に船員が立つが、ダイヤル式に変更して離れた場所から投錨が可能となったことで、安全性が向上した。
 新型ウインチはケミカル船“りゅうと”に今年3月に搭載。海技研らと共同で遠隔投錨システムの実証試験も行い、効果を確認した。
 新開発のブレーキシステムは今治市で22日から開催される国際海事展「バリシップ」の「内航のミライエリア」で展示する予定。

海技研らとの実証試験のようす

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