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2025年2月18日無料公開記事洋上風力発電

モジュラー式吊り天秤、日本展開
中村工業、洋上風力発電の重量物吊り上げに対応

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モジュリフト

 重量物吊り上げ製品を手掛ける中村工業(大阪市、中村哲也社長)は、イギリスの重量物用モジュラー式吊り天秤「モジュリフト(Modulift)」を日本の洋上風力発電市場に展開する。組み立て式のため柔軟に形状などを変更でき、運搬や保管の容易性、短納期などが特徴。海外の洋上風力発電の設置工事でも活用実績がある。「日本でも風力発電関連の引き合いが増えており、モノパイル(基礎部)などの重量物吊り上げに応えていきたい」(中村社長)との考えだ。
 吊り天秤は、クレーンなどで重量物を吊り上げる際に荷物をバランスよく垂直に吊り上げるための用具。通常は型鋼など部材を溶接して製作されるが、モジュリフトはパイプ型など様々な形状のパーツを組み合わせて、ボルトで組み立てる方式。対象物や吊り方に応じて、パーツを組み替えて天秤の長さや形状を柔軟に変更できる。また軽量で、各パーツに分解できるため運搬が容易で、トラック輸送などが可能。保管場所も省スペースとなる。短納期対応も可能で「吊り荷重100トンまでであれば当社の在庫で即納できる」(中村社長)。ノルウェー船級(DNV)の型式認証も取得している。
 中村工業はモジュリフトの日本代理店として販売とリースの両方式で提供している。「数回程度の吊り上げであればリースが便利。利用方法に応じて、選んでいただける」(中村社長)。これまで中村工業としては国内での橋梁工事や台湾新幹線の吊り上げなどさまざまな産業に提供しており、リースで350件超、販売で100件超の実績がある。
 今後目指すのが洋上風力発電関連だ。欧州など海外では既に、洋上風力のブレードやタワー、モノパイルの吊り上げで利用実績がある。今後、日本で洋上風力の建設工事が本格化する中、同社に対してモジュリフトの引き合いが増えているという。
 中村工業はモジュリフトに加えて、吊り具やワイヤーロープなど重量物吊り上げに必要な部材をトータルでそろえており、吊り方の提案や重量計算にも対応するなど、重量物の吊り上げを総合的にサポートする体制をとる。また、新たにクレーンのロープ交換サービスにも着手している。中村社長は、「日本で洋上風力発電が今後普及する中で、重量物吊り上げに関する当社の総合サービスで貢献できると思っており、注力していきたい」との方針を示す。

海外の洋上風力での活用事例

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