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2024年3月6日無料公開記事洋上風力発電

洋上風力基礎部の事業化へ新組織
住友重機、新造船から転換し設備増強

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 住友重機械工業は5日、洋上風力発電事業を本格展開するため、統括組織「洋上風力事業推進プロジェクト」を設立したと発表した。基礎構造物や関連船舶を事業ターゲットに置き、グループ各社で製造体制などを整える。新造船事業から撤退して風力発電事業に軸足を移す、造船子会社の住友重機械マリンエンジニアリングも、基礎構造物の製造に向けて横須賀製造所の設備を増強する。

 洋上風力発電分野では、住友重機械マリンエンジニアリングと、圧力容器などを手掛ける住友重機械プロセス機器(愛媛県西条市)が、着床式・浮体式いずれの基礎構造物製造にも転用可能な技術を保有している。これらの技術を生かし、横須賀製造所と愛媛製造所(西条工場)の連携も含めた生産体制も整え、事業化を目指す。
 新組織の洋上風力事業推進プロジェクトが、基礎構造物製造の事業化に関する営業・設計・製造に関する活動をを統括する。また洋上風力関連船舶と各種作業船に関する営業窓口機能も、この新組織が担う予定だ。
 住友重機械マリンエンジニアリングは、新造船事業を通じて蓄積したエンジニアリングと重塗装を伴う大型構造物の建造・量産技術を、基礎構造物の製造に活かすため、横須賀製造所で設備増強を含めた生産体制の整備を進める。
 住友重機械プロセス機器は、大型圧力容器の製造で蓄積した極厚円筒形構造物の加工・製缶・溶接技術を活用する。基礎構造物に使用される極厚鋼板の加工能力増強のため、大型ベンディングローラーの導入を決定。2025年5月に稼働開始する予定だ。このほか、基礎構造物製造に向けた準備を進める。
 住友重機械は、本社の「エネルギー&ライフラインセグメント」が、カーボンニュートラル事業と再エネ促進事業を主要戦略課題に位置付けている。この一環として、グループの技術を生かし、洋上風力発電の事業化を目指す考え。統括組織も、同セグメントの中に置く。
 日本国内では、洋上風力発電が普及期に入る一方で、基礎部など関連設備の生産能力が課題になっている。特に、将来的な沖合での普及が見込まれる浮体式洋上風力は、基礎部の製造に造船所の大型ドックが適しているものの、造船所では今後の新造船需要拡大でドックが埋まる可能性が高いため、浮体の製造能力がテーマになっている。住友重機械が横須賀製造所の大型ドックを転用することは、日本としても洋上風力の製造拠点の確保につながる。

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