2026年3月26日無料公開記事
洋上風力向けアンカー製造を推進
横浜工作所、JERAと横浜市が支援
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国産アンカーの製造体制を整えていく
横浜工作所は、横浜市とJERAの支援を受けて、国産の浮体式洋上風力発電向けアンカーの製造・供給体制の構築を加速する。3者は今月、「横浜港臨港地区における洋上風力発電関連事業等の支援に関する覚書」を締結した。横浜工作所は、横浜市の仲介のもと、JERAの横浜市内における自社敷地を借り受け、製造に不可欠な国産アンカーの保管・供給拠点として活用する。政府が洋上風力発電の国内調達率を高める目標を打ち出す中、横浜工作所は「本拠を置く横浜の地で現時点では国内唯一となる浮体式洋上風力向けのアンカー製造を進めていく」方針だ。
横浜工作所は2024年、米国デルマーグループで浮体式洋上風力向けのアンカーを手掛けるフライホフ社(Vryhof Products、本部=オランダ)、原田産業とともに、浮体を固定する国産アンカーの第一号基を完成させた。フライホフ社の品質検査に合格し、日本海事協会(NK)の承認も得ている。浮体式洋上風力発電プロジェクトは今後、全国各地で立ち上がっていく予定で、アンカーの需要も拡大していく見通しだ。横浜工作所は、これらの案件の受注を目指すとともに、より大型となるアンカーの製造体制を構築していく考えだ。将来的な量産に備えるため、2023年には大型工場やクレーン、国内輸送に有利な岸壁を備えたトモイ造船鉄工所(安善ドック)を子会社化し、昨年8月に吸収合併した(現・安善ドック事業所)。本社と合わせて製造体制を強化している。
一方で、製造したアンカーを保管する場所が不足しているという課題があった。アンカーは大型の設備となり、一つの風車に対して6基程度必要となるため、保管には広大な土地が必要となる。加えて、大型設備となるため陸上輸送が難しく、浮体式洋上風力発電所の設置場所まで海上輸送で運ぶことが望ましいことから、臨港地区に保管場所を用意することが不可欠だった。横浜工作所は最適な土地を探していた。
こうした中、横浜市が横浜工作所とJERAを仲介する形で今月、3者間で「横浜港臨港地区における洋上風力発電関連事業等の支援に関する覚書」を締結した。同覚書に基づき、JERAは横浜市内の自社敷地の護岸部分を横浜工作所に貸し出し、横浜工作所は国産アンカーの保管拠点として活用することになった。
横浜市とJERAは昨年10月、横浜港臨港地区に立地する火力発電所構内におけるデータセンター(DC)建設に関して覚書を締結しており、この中で「横浜港臨港地区への配慮」や「地域社会との共生」、DCで消費する「電力の低炭素化・脱炭素化」を目的として盛り込んでいた。JERAは今回の自社敷地の貸し出しと国内の洋上風力発電事業への支援を通じて、同覚書で掲げる臨港地区への配慮と地域共生に貢献する。
横浜工作所は同敷地を活用することで、2030年までに国産アンカーを安定的に製造・供給できる体制を整え、日本の浮体式洋上風力発電の活性化を目指す。この取り組みは、横浜港の港湾脱炭素化推進計画に盛り込まれたほか、横浜工作所は横浜港脱炭素化推進臨海部事業所協議会に参画した。
横浜市は洋上風力発電事業を推進することで、カーボンニュートラルポート(CNP)の形成につなげるとともに、両社の取り組みが円滑に進むように港湾管理者として可能な範囲で支援を行う。
横浜工作所は近年、本業となる船舶修繕で培った技術を生かして洋上風力発電向けなどのサブシーソリューションにも力を入れている。浮体式洋上風力発電向けアンカーの開発に加え、浮体と係留索を接続するプラットフォームムアリングコネクタや、係留索の挙動解析ソリューションなども展開する。また、作業員輸送船(CTV)から洋上風車への移乗を安全に行うためのサスペンションデッキの開発・展開も進めている。同デッキは有義波高2mまで対応可能で、動揺を最小化するほか、強度に優れた8軸構造となり、高い堅牢性と安定性を誇る。既存設備へのレトロフィットも可能となっている。さまざまなソリューションを通じて、日本の洋上風力発電の推進につなげていく。