2025年11月27日無料公開記事台湾洋上風力
洋上風力発電
《連載》台湾洋上風力<中>
台湾籍船が競争力の源泉に
海外展開に向け柔軟性に課題も
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台湾洋上風力の拡大とともに、台湾籍船を通じて作業船の知見を蓄積する台湾船社が増えている。台湾でも日本や諸外国と同様にカボタージュ規制が存在し、内航船は原則として台湾籍船でなければならない。外国籍船は、代替となる台湾籍船が確保できないなど一定の条件を満たした場合に、例外として運航が認められる。台湾では洋上風力の船舶需要を台湾籍船だけでは賄い切れず、外国籍船の運用を柔軟化する動きもあり、多くの外国籍船も作業に投入されているのが実情だが、作業船の調達では台湾籍船が優先する必要がある。これは単なる国内産業保護にとどまらず、現場での運航管理や船員育成、リスク対応などの実務知識を台湾側に蓄積する仕組みとしても機能する。台湾籍船の優先起用が知見蓄積を促し、その知見がさらなる競争力強化に結び付く好循環は、地場企業の成長や関連産業の底上げにも寄与している。
台湾で洋上風力支援船を保有・運航する大手船社は船隊の大半を台湾籍船とし、競争力強化につなげているが、海外展開の観点から台湾籍船の柔軟性の向上を要望する声も聞かれる。ケーブル敷設船や作業員輸送船を保有・運航する台湾の船社は「台湾籍船は台湾企業が所有しなければならず、乗組員の国籍や税制などの制限があり、海外で運航する際にはコスト負担が大きくなり不利な立場に立たされる」と語り、「台湾籍船が海外でも運航しやすいように柔軟性を持たせるべきだと政府に訴えている。これにより台湾の船社が海外でも競争力を持ち、台湾においても強力で低コストの船舶供給基盤を築けると考える」とした。
カボタージュ規制を前向きにとらえる事業者もいる。CTV(作業員輸送船)を中心に保有・運航する台湾船社は「カボタージュ規制は事業を行ううえで厳しい面もあるが、(それをクリアすれば)チャンスも多くあると考える」と語る。同社は台湾で運航する船隊は台湾籍だが、韓国進出の際は投入船を韓国籍にした。「現地パートナーのおかげで韓国籍船化が可能となり、韓国人船員で運航している」。外国企業にとってカボタージュ規制で課題となるのが現地船員の確保と現地言語での複雑な手続きだ。また、洋上風力産業はエネルギー安全保障や地域共生など、自国でのサプライチェーン形成を重視する側面がある。作業船隊を拡大している台湾船主は、台湾でのビジネスを拡大しつつ海外展開も狙うが、そのためには現地パートナーの存在が必要だとの声も聞かれた。
台湾籍船の存在が市場競争力を支える一方、海外展開に向けた制度面の調整も求められている。台湾市場と海外市場の双方に対応できる柔軟な洋上風力作業船隊をどう構築するかが、台湾船社の次の成長を左右しそうだ。