2025年10月20日無料公開記事船舶用船料先物取引(FFA)を知る使う

《連載》船舶用船料先物取引(FFA)を知る・使う⑦
FFAに外部マネーが流入

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FFAの市場規模は、原油や穀物など主要な商品先物と比べると非常に小さいことは前回述べたとおりである。それでも、2020年以降の海運マーケットの盛り上がりを受け、FFAは出来高・取組高ともに拡大した。

増加の要因としては、①コロナ禍という未曾有の事態を受けて既存参加者がヘッジ数量を増やしたこと②それまでヘッジを行っていなかった現物プレイヤーの新規参入③FFA相場上昇を背景に実需筋ではない投機筋の取引が活発化したこと─の3点が挙げられる。

コロナ禍の上昇相場が一巡した後、パナマックスFFAの取組高はピーク時から約3割、スープラマックスは約2割減少した。一方、ケープサイズは微増にとどまり、市場規模を維持している。この違いは、コロナ期における相場上昇率がケープサイズよりもパナマックスやスープラマックスの方が高かったことが主因と考えられる。直近1~2年は相場が落ち着いており、いずれの船型も取組高は横ばい傾向が続いている。

近年のFFA相場をみると、船舶需給の分析だけでは把握しきれない局面が増えている。他の商品先物市場と同様に、FFA市場にも投機筋が流入しているためだ。

これら投機筋、いわゆるファンド筋の動向を把握するには、商品先物や金融先物など他市場の動きにも目を配る必要がある。船腹需給のみならず、商品市場や金融市場における資金の流れ(例えば資金が株式、債券、商品のどこへ向かっているのか)を俯瞰しなければ、FFA相場の予測はますます難しくなっている。

その一助となるデータとして、米国商品先物取引委員会(CFTC)が毎週公表しているCOT(Commitments of Traders Report)が挙げられる。これは、火曜日時点の大口投資家の上場商品の取組高を金曜日に発表するもので、いわゆる投機筋がどの商品でどの程度ポジションを増減させたかを把握できるデータである。

通貨(円・ユーロなど)のポジションも確認でき、商品先物取引に関わる者には馴染み深い統計だ。FFA市場でも、SGXが昨年から同様のデータを公表し始めている。

メディアでは、マーケットの状況を語る際に「リスクオン」「リスクオフ」といった表現が頻繁に使われる。しかし、実際の資金の流れは電気のスイッチのように日替わりでオン・オフされるものではなく、一定の時間軸を伴いながら徐々に変化するものである。こうしたデータは、その変化の兆しを捉えるうえで有用である。

FFAは「投機筋のオモチャ」であるとの指摘が昔からあるが、SGXの取組高の推移を見れば、その認識が誤りであることが分かる。FFAに限らず、どの商品においても投機筋が取組高の大半を独占することはできない。むしろ投機筋は市場を攪乱させる存在ではなく、実需筋のリスクを引き受けるリスクテイカーとして機能している。

近年、世界的に政治リスクが高まり、金融・商品市場(FFAもその一部)ともに不安定な状況が続いている。木を見て森を見ずとならぬよう、われわれエクセノヤマミズにおいても、毎週さまざまな角度からマーケットを俯瞰する取り組みを続けている。
(連載終わり)

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