2025年9月17日無料公開記事洋上風力発電
  洋上風車一括搭載技術実証に成功
戸田建設、起重機船で2MW級風車吊り上げ
  
    
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    実証試験のようす
   
 
   戸田建設はこのほど、コストミニマムを実現する風車一括搭載技術の開発の一環として、3分の1スケールモデルとなる2MW級風車で実証試験を行い、日本で初めて大型起重機船による風車一括搭載に成功したと発表した。タワー・ナセル・ブレードを事前に組み立てた完成形の風車を、国内で稼働中の3700トン吊級の大型起重機船で一括搭載できることを検証した。今回の成功について同社は、大型風車の一括搭載技術の開発・実用化に向けて大きく前進したとしている。
 風車の一括搭載技術はタワー・ナセル・ブレードを陸上もしくは台船上で事前に組み立て、国内で調達可能な稼働中の大型起重機船で完成形の風車を一括で吊り上げ、浮体まで吊曳航して一括搭載するもの。大型起重機船でタワー下端の接続部材を吊り上げ、転倒防止枠でタワーを把持し、2本のクレーンジブの間にタワーを通した状態で吊るため、風車の大きさに制限されることなく、起重機船の吊能力を最大限に活用できる技術となる。
 戸田建設は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」に採択され、15MW級風車の3分の1スケールとなる2MW級風車での一括搭載実証試験を長崎県五島市椛島沖で進めてきた。昨年度まで自社事業として15MW級風車の100分の1スケールモデルの水槽模型実験を実施するとともに、シミュレーション検証により施工成立性を確認している。今回の実証試験により、同技術が実際の施工に問題なく適用できることを検証した。
 今回の試験では、2MW級風車を事前に組み立て、実物と同等の大型起重機船で一括で吊り上げた状態から、実際に浮体へ搭載する作業を実施した。併行して開発しているシミュレーションソフトの解析結果と比較することにより、精度のよいシミュレーションが可能なことを確認した。
 今後は、今回の試験で検証した作業手順や資機材などを踏まえ、15MW級風車の実証施工に向かい、同技術をステップアップしていく方針だ。最終的には15MW超級の風車にも対応可能な風車一括搭載技術をシミュレーションソフトとともに確立し、浮体式洋上風力発電の大型化・量産化を可能にすることで施工コストを低減し、コストミニマムを実現していくとしている。