2025年8月28日無料公開記事洋上風力発電

国内3海域の洋上風力開発を中止
三菱商事ら、事業環境変化を受け

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 三菱商事は27日、子会社の三菱商事洋上風力を代表企業とするコンソーシアムが開発を進める「秋田県能代市、三種町および男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」の3海域の洋上風力プロジェクトについて、開発中止を発表した。同コンソーシアムは公募参画当初の想定を上回る事業環境の変化を受け、今年2月に事業性の再評価を行っていることを明らかにしていた。
 三菱商事は3海域の洋上風力事業に関して、2024年第3四半期に522億円の減損損失などを計上した。すでに大部分を計上済みであることから、さらなる追加の損失が生じる場合でも限定的となる見込み。
 三菱商事らのコンソーシアムは2021年12月、第1ラウンドとなる一般海域の洋上風力発電事業者公募で3海域の事業者に選定された。いずれも、着床式で米ゼネラル・エレクトリック(GE)製の13MW風車を採用し、2027年から30年にかけて、合計で134基の風車が建設される予定だった。
 事業者選定以降、新型コロナウイルスの蔓延やウクライナ危機をきっかけに、サプライチェーンのひっ迫、インフレ、為替、金利上昇など、洋上風力業界を取り巻く事業環境は世界的に大きく変化してきた。同社はこれらの変化に対応すべく、コスト、スケジュール、収入などあらゆる面において、同社として取り得る様々な手段・可能性を追求しながら事業性の再評価に取り組んできたが、事業パートナー間で協議を行った結果、実行可能な事業計画を立てることは困難であるとの結論に至ったとしている。
 開発中止を受け、公募占用指針に基づき、選定時に提供した保証金は全額没収されることになる。また、指針では、事業中止が決定された場合は、中止理由を確認の上、必要に応じて再度公募を実施する場合があるとしており、今後は3海域の再公募の行方が注視される。

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